桜田 よしたか
自由民主党
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委員会
地方自治体の会計方法・バランスシート導入の是非について [1999/07/21
桜田委員
 自由民主党の桜田義孝でございます。大住参考人につきましては、本当にお忙しいところをありがとうございます。
 公会計のあり方ということでお伺いするわけですが、私は、衆議院議員になる前には、県会議員、市会議員とやってきたわけなんですけれども、十二年前に柏の市議会議員になったとき初めて質問をしたときに、なかなか単年度制の会計がわからなかったわけですね。私は会社を経営していたもので、複式簿記が普通で、複式簿記しか知らなかったわけですね。それで、いつも財政部長にいろいろなことを聞きに行くんだけれども、なかなかのみ込みが悪くて、難しかった。少しずつなぜ企業会計のようなことをやらないかということを聞いて、市会議員になる前に行政改革懇話会とかで、行政改革ということについて非常に興味のある立場にあったものですから、よく伺ったんです。
 それで、企業会計にやるには非常に膨大な作業が必要だ、柏市のことをやれと言われても、その人手がない、そしてだれがやるのか、自分以外の命令する人がいないんだというようなことで、大変行き詰まったというか、なかなかやってもらえなかったわけなんです。そのときの財政部長は既に亡くなられているわけなんですけれども、その財政部長の話の中に、それをやっても行政面でいうと余り意味のないことなんだ、こう言われたことを今でも非常に鮮明に覚えているんです。
 そんなことで、バランスシートを導入する、そして損益計算書を導入することについていろいろな、帰られた加藤参考人も、大住参考人もおっしゃられていることについて、私自身は大賛成で、取り入れるべきだな、取り入れるべきだなというよりは、作成すべきであるというような観点を持っております。すぐにでもやった方がいいんじゃないだろうか。すぐ実施すべきだと参考人が言っていましたけれども、私もそのとおりだと思うんです。
 ただ、そのすぐ実施するについても、やはりもっともっと議論が必要なのではないかなというような感じがいたします。二次的に参考資料として利用するにはつくった方がいいとは思うんですけれども、やはりいろいろな面から見て、直ちに行うについては若干時間が必要なんではないだろうかなという気がします。
 そこで、まず第一番目に、このプラスマイナス、先ほどの質問の中においても、マイナスはないんだ、すべてプラスなんだということをお伺いして、私自身も、行政の効率化や税金の有効活用ということについて極めて重要だとは思っているんですけれども、これを取り入れた場合、日本の政府におきまして、国民におきましても、果たしてどの程度の効果があるのかなと。効果という点について、まず一点お伺いしたいなと思います。
大住参考人
 恐らく、バランスシートを作成し、導入していくという効果は、とりもなおさず、どう活用するのか、どう使っていくのかという関係だと思います。これを単なる情報提供に終わらせるならばほとんど効果はないだろうと思いますけれども、行政運営、ニューパブリックマネジメント的な考え方に立ちますと、次の政策に反映させていく一つの素材にしていくということであればそれなりに効果が出てくることは間違いないと思います。
桜田委員
 この中に、単式簿記、歳入歳出のやり方は今日本とドイツだけだ、こう言われております。諸外国の例を見ますと、アメリカやイギリス、フランスなんかはもう既に、昔は今の日本やドイツと同じようなやり方をやっていて、ある時期に何らかの税金の効率的利用に疑問を持った段階で、あるいは行政改革やアカウンタビリティーという点から見て、いつごろからこういうシステムになったのか。そしてまた、日本やドイツよりも英米の場合の方がよりよい財政政策ということが、特に目立った形で発生しているのかどうか。その辺、どの程度状況を把握しているかどうか、ちょっとお伺いしたいなと思っています。
大住参考人
 まず、いつというお話でございますけれども、これは八〇年代の後半以降ということだろうと思います。
 そのきっかけとなりますのは、恐らく、政府の財政赤字、累積債務の問題が顕在化をしてくるということと、納税者に対する負担の問題が非常に重大な問題としてクローズアップされ、ある場合では納税者の反乱というようなことが起きてくる。こういうプロセスを経て、政府部門につきましても財務状況を客観的に開示する必要がある、これは納税者に対する義務だ、負担を強いているわけですから当然の義務であるという考え方が出てまいります。それとともに、先ほど申し上げましたように、限られた財源でより多くの、より多様化したサービスを供給していく必要があるわけですから、効率化を図る必要がある、行政のイノベーションをする必要があるという観点が出てまいります。この二つの問題点から公会計改革が一気に加速されたというふうに認識しております。
 済みません、二つ目の御質問……。
桜田委員
 英米では会計をやり直しして、目覚ましい効果という形でどの程度出ているのかという質問でございます。
大住参考人
 アメリカにおきましては、まだ本格的に移行したという段階ではありません。まだ、とりあえず出してみたという段階だと存じております。
 英国におきましては、中央政府は、資源会計というのでしょうか、RABというふうに呼んでおりますけれども、リソース・アカウンティング・アンド・バジェティング、こういう仕組みを導入することを決定しております。ただ、決定をしたといいましてもまだ試行期間でございまして、完全に移行するのは二〇〇一年度以降ということなんです。ですから、そういう意味でいいますと、まだ効果ははっきりと検証できないということだろうと思います。
桜田委員
 よくアカウンタビリティー、説明責任ですけれども、私は、企業会計でなくても、歳入歳出でも、よく大蔵省なんか、我々が予算委員会でやる部分については情報の開示というのはある程度できているんじゃないかなという気がするんですけれども、どの辺の部分がそのような、開示が十分でないという認識を持たれているのか、ちょっとお伺いしたいなと思います。
大住参考人
 現行で十分かどうかという御質問かと存じますけれども、恐らく現行の情報開示ですと、少なくとも経済活動のフローとストックの結びつきがよくわからないんですね。ストックに関する情報がよくわからない。これは発生主義会計を導入すべきだという議論の根幹にかかわることなんですけれども、社会資本を含めまして、政府が固定資産を取得したときの費用が、支出したときだけにかかってしまう。本来であれば、社会資本なり固定資産を使っている期間、均等に費用が発生しているはずだ、こういうふうに認識するのが普通の考え方だと思うのですけれども、そういう情報が全くない。
 さらに言いますと、社会保障関連の費用ですとか、あるいは退職金の債務といったものが、本来であれば毎年毎年費用が生じているはずなんですけれども、そういったことが、現金主義会計に基づく現行のシステムでは全くわからないわけです。毎年毎年発生しているはずの行政コストを正確に見積もろうということだろうと思います。
桜田委員
 バランスシートの導入の議論の中で、特に目的論、技術論ということもありますけれども、まあ目的については先ほどから何度もお話しなさっているのでちょっとここでは省略させていただくんですが、この導入に関しては、技術的な面において、行政面は企業とは大分違うのではないだろうかなと思いまして、国の資産評価について、本当にこのバランスシート評価にたえ得るものの仕上げになることが可能なのかどうかという、基本的なことをちょっとお伺いしたいなと思います。
 そもそも、政府のやることあるいは行政全般のやることというのは、企業と違って、採算の合わないものをやはり行政府が担うのではないだろうかというものであって、利益を目的とする企業とは根本的に違うのではないだろうか。採算が合わないからこそ行政が担当するのであって、もしもうかればみんながやってしまうのではないかなというような、国が黒字になるような制度は、やはり政府ではないのではないだろうかと思うんですね。やはりいろいろな、福祉手当だとかいろいろありますよね。児童手当だとかそういったこともありまして、それは企業の利潤関係とは全く相反しているのではないだろうかなというふうに思うんです。
 いろいろなものを見ましても、やはり前提や仮定というものは非常に多いわけなんですけれども、公共的なものに関する基本的な考え方というものは、また企業会計に単純に取り入れさせるのは難しいのではないだろうかというような気がするんです。
 例えば、平成十一年度の予算案一つ見ても、税収は五七%、まあいろいろなことで六〇%ぐらいしか税収がない。やはり支払いが四〇%近く、正確には三八%でしたけれども、三八%は借金であるということになると、単年度制をとってみても、収入よりも支払いの方が大きいというこの一年の構造を見ても、収入と支払いが同一にならないと半永久的に黒字の財政というのはできないのじゃないか。永久的に政府の会計というものは債務超過になるのではないかという気がするのですけれども、その点についてはどういう御見解を持っているか、ちょっと伺いたいと思います。
大住参考人
 政府の仕事は民間企業とは違う、まさにおっしゃるとおりでございます。政府は利益を追求するわけではありません。むしろ利益を上げてはいけないわけで、黒字であればむしろ納税者に還元すべきだということだろうと思います。
 そもそも公共サービスというのは対価をとりませんので、それで独立採算なんというものは成り立ち得るはずがありません。ですから、民間企業と全く同じ考え方、同じ理念というものは公共部門には該当しないという考え方があり得ます。ただし、それは利益を上げるためにバランスシートを導入するというわけでは必ずしもありませんので、つまり、政府の行政運営の効率化を図るための一つの素材としてバランスシートを導入すべきだということを申し上げているわけです。
 技術的に困難がある、これはまさにおっしゃるとおりでございまして、特に固定資産の評価、先ほど来申し上げておりますように、道路のようなインフラ資産、こういったものは売りたくても売れません。売ってはいけないものであります。したがいまして、こういったものをどうやって評価をするのかということがまさにバランスシート、公会計改革の主要な議論の一つであったことは言うまでもございません。
 つまり、先ほど、社会資本、道路のようなものはどういう評価をするのでしょうということで、一億円かかった道路であればとりあえず一億円として資産評価をします、使っている耐用年数の期間、次第に減価償却をさせますということなんですけれども、こういう評価でいいのかどうか、大議論があるわけです。
 とはいうものの、こういった資産を計上しない方がいいという議論にはならないわけです。少なくとも、こういう資産を税金で購入をしているわけですから、あるいは国債なり地方債で借金をしながら整備をしているわけですから、情報開示という意味では当然バランスシートに掲載すべきであろうというふうに思っております。
 国の財政が今三八%赤字である、公債で埋められているということの御指摘なんですけれども、ただ、それは経常的な経費ですべて消えているわけでは当然ないはずです。景気対策という趣旨で、社会資本整備を進めている資金としてかなりの部分が回っているはずでありまして、それは一たん施設、社会資本が整備をされますと、その便益は後世代にわたって及ぶはずであります。もしそうであるならば、仮に今年度かなりの財政収支の赤字であったとしても、その施設整備にかかった費用、例えば道路、景気対策で整備をしましたこの費用を、当期だけのコスト、今年度だけのコストとして計算するのではなくて、例えば二十年使うのであれば二十年間に配分していけばいい、二十分の一だけ積んで当期の行政コストとして見てみましょう、そういう発想なんです。
 発生主義会計はそもそもそういうコストの厳格な期間配分のようなことが前提になっておりますので、発生主義で見た方が、少なくとも今の、現金主義ベースでの三八%の公債依存率なんという指標よりははるかに正しい情報が得られると思います。
桜田委員
 そうしますと、参考人におかれましては、日本のあるべき姿という言葉が最近非常に出回りつつあるのですけれども、今、財政の方からいうと公会計は複式簿記にした方がいいという感じの御意見でありますけれども、私もそれについては異論ありませんし、そうあるべきだなと思うんですけれども、ただ、私は、時間がもうちょっと必要かなと思うときに、参考人におきましては、日本の債務超過、三百何兆円というような債務超過になっている、あるいは先ほどの加藤参考人については、九百兆円の債務超過であるということになると、やはり日本の会計、財政の基準というものは、債務超過、プラスマイナスゼロが本来の日本のあるべき姿としては望ましいという前提に立っているのかどうか、その辺もちょっとお伺いしたいなと思います。
大住参考人
 PHP総合研究所の試算によりますと、三百七十兆ほどの債務超過なんですけれども、債務超過が直ちに悪いかと。そうではございません。これは売却不可能な資産、例えば本当に役に立つインフラ整備、社会資本整備を進めたとしましても、売却不可能ですので、結果的に、仮に財源が国債なり地方債で賄われたとしますと、借金だけが膨らんで、債務だけが膨らんでいきますので、資産の方からは除かれますから、債務超過としてカウントされてしまうんですね。ですから、それはそれで、債務超過だからけしからぬということではないはずなんです。ただ、現にこれだけ純粋な負債がありますということを情報開示する意味はあろうかと思います。
 私は、プラスマイナスゼロがいいと申し上げているのではなくて、むしろ、恐らく債務超過であって当然だろうと。ただ、その金額あるいは幅が問題だろうと思っております。
桜田委員
 債務超過についてもうちょっとお伺いしたいんです。
 私は、地元で毎月第二月曜日の夜、平成目安塾という塾をやっているんですけれども、そのときの参考人に、第一勧銀総合研究所の山家悠紀夫さんという専務理事の方においで願って、実は、お配りしたものは、そのときの講演の一部なんですけれども、中にいらっしゃる方はぜひこの六ページを見ていただければありがたいなと思っております。
 日本の財務会計とアメリカ、ヨーロッパのやり方とは違うんだ、それはわかりました。ただし、アメリカなんかの財政は、よくそのお話を聞いていると、日本の歳出歳入にプラス年金会計というものを合算してあるというのがアメリカの会計だそうであります。私が調べたわけじゃなく、あくまでも研究所の調べに基づいて、信頼をしてお話しさせていただいておるんですが。
 今でも日本は年金会計が毎年十兆円ほど黒字、収入より支払いの方が十兆円少ないというふうになっていて、もし、日本も英米流の会計にすると、この年金の問題についても合算した場合は、いろいろなことで日本の財政は米英よりも財政内容は悪化してないと。
 私は、ぜひこの六ページの方を見ていただきたいんですが、下の図なんですけれども、これはアメリカ、ドイツ、日本というふうに書いてありますけれども、九七年度における我が国一般政府純債務残高はGDP比に対して一八・五%であると。しかし、それを同じ基準に合わせると、ドイツの四六・五%、四四・〇%のアメリカよりも低いというような数字が出ているんですけれども、果たして日本は国家財政というものが本当に危機的状況にあるんだろうか。
 むしろ日本人の心の中で、やはりその上の方にもありますけれども、心配性が余り過ぎて、正確な議論から若干移りつつあるんだろうかと。やはりいろいろなことで不安感を訴えるようなことの方が人間の頭の中には残りますんで、果たして日本の財政は危機的な状況なんだろうかと。同じ基準、同じ物差しで統計をとった場合、今、日本の一般、通常の会計を英米流の企業会計にして、日本、アメリカ、ヨーロッパ、イギリス、ドイツ、こういうふうに全部やってみたら、果たして本当に諸外国と比べて日本の財政は悪化しているんだろうかという基本的なことについて、私は疑問を持っているところであります。
 もし、この山家さんという先生の数字が正しいということになれば、日本の財政政策というものは極めて失敗したんではないだろうか。余りにも財政政策を急ぐ余り、日本の政府は大蔵省などが提示した統計、いわゆるデータをうのみにし過ぎたがために、政府の政策に誤りが生じたのではないかという見解を持っておりましたが、私も若干その意見に近いんですけれども、果たして日本の財政は危機的状況にあるのだろうかというこの大前提、財政の健全化についての前提を、先生はどのように認識しているか、お伺いしたいなと思います。
大住参考人
 このいただいた統計データの出所がよくわかりませんけれども、これは純債務ということですので、これに対応するグロースの債務というものが恐らくあると思うのです。そういったものもとる必要があろうかと思います。
 それともう一つ。企業会計ベースに直したときにどうなるかということ、これは結構重要なことでありまして、実は国際機関におきまして、公会計の分野についても統一的な基準、つまり、複式簿記、発生主義会計に基づくルールづくりを進めるべきだという意見が強まっているというふうに聞いております。
 国際会計士連盟の方に統一的な基準づくりについて真剣に検討せよというような指示が複数の国際機関から行っております。当然補助金もかなり出ておるようなんですけれども、今現在この発生主義会計の議論が個別に進んでいるわけですけれども、恐らく、数年といいますか、二、三年以内には国際的な動きとして表面化してくると思います。そうなりますと、新しい会計基準に基づいて、同じような財務の、財政の健全性を図るような指標がより厳密にとれると思います。
桜田委員
 バランスシートをつくる基準についてちょっとお伺いしたいんです。いろいろバランスシート基準というもの、まあ統一基準ということでやるならば、やはり外国と日本とを比較するときに統一基準というものをつくることはかなり難しいんではないだろうかなどというような気がするんですけれども、それが統一基準ができれば、日本と諸外国の比較ができます。そして、国内においてならば、政府が会計の手法について統一的なものをまとめれば、それはできると思うんです。
 ただ、果たしてそれが現実的可能性としてはどの程度あるんだろうかという問題と、これをつくることが、政府の内部でつくることが正しいか、あるいは外部機関でつくることがいいんではないだろうか。私自身は、外部機関で作成した方がより精度が上がるんではないか、あくまでもこれは情報開示というものを前提として思っているんですけれども、いかがでしょうか。
大住参考人
 まず、現実的かどうかということなんですけれども、それに対しましては、少なくとも試行錯誤でもいいからつくってみるべきだと思います。それで、よりいいものをつくっていくということだと思います。
 行政機関内部でつくっていくのか、あるいは外部でつくるのかということだと思いますけれども、恐らく両者両様、メリット、デメリットがあろうかと思います。外部でつくった場合、基本的な情報が入手できるかという問題が恐らく出てこようかと思います。むしろ、そうであれば、個別の行政機関に基準を示してつくらせる、つくったものを監査するというやり方もあると思います。私はその方がベターだと思います。
桜田委員
 どうもありがとうございました。
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