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国鉄が民営化される前、経営状況は極めて悪く、運賃は毎年のように値上げされていました。国鉄は毎年、約6,000億円も国庫負担し、その累積はなんと約37.1兆円にも上っていました。これはもう事業の体をなしていない壊滅的状態でした。国鉄は国の財政にとって大変大きな重荷になっていたのであります。
中曽根内閣はその国鉄を民営化することに踏み切り、経営責任を明確にすることを目的としてJRが誕生しました。無責任な「親方日の丸」意識を捨てさせ、自立させようとしたのです。
この大英断は、JRに企業感覚とサービス精神を植え付けることに成功し、JR(本州3社)はスタート以来11年間も運賃値上げをせずにすみました。それだけでなく、国・地方への納税額も毎年約3,000億円にも達し、わが国企業の超優等生に変身しました。国鉄時代には28万人いた職員を、血のにじむような大胆なリストラを断行してなんと約20万人にまで削減したのです。国民の生活に強く影響するストも全く行っておりません。
ところが政府は、JRの債務は国が責任を持つと閣議決定しておきながら、厳しい状態に陥っている年金財源にJRの収入約3,600億円を追加投入することを決めました。
わたくしたち衆議院第1期生のJRの追加負担反対運動等により、結果的にJRが当初政府案の半分である1,800億円を負担するということで国会を通ったわけですが、財政状況が苦しいとはいえ、これは、あまりにも安易で筋違いな判断であります。JRの株主ら(外国人株主も多数)にも大きな不満を抱いている人が多いようであります。わたくしは、この政府の方針には、とても違和感を覚えています。 わたくしは、この問題について政党政治と個人の政治家のはざまで、正直申し上げて苦悩しております。JRはもはや独立した企業体です。国の財政の尻拭いを押し付けるのは市場経済の原則からしても、到底納得できません。せっかく健全な企業に生まれ変わったJRに、今後、こうした負担を安易に肩代わりさせることのないよう、わたくし、桜田義孝は厳しく監視していくつもりであります。
○国家公務員給与のベースアップを巡る問題について
厳しい経済状況の下、民間企業では倒産が相次ぎ、大企業でも思い切ったリストラが進められています。また、失業者は最多の295万人(9月)にも昇り、労働者の現金給与総額は1年前より3.8%(8月)減少しております。そうした中で、国家公務員の給与のあり方を提言する人事院は6月、98年度の一般国家公務員の給与を4月にさかのぼって、平均0.7%(月額2,785円、定期昇給分を除く)引き上げるよう国会と内閣に勧告しました。
これは民間企業の実情を無視した不公平な措置だと思えてなりません。民間企業が、戦後未曾有の経済危機に見舞われている実情を考慮すると、わたくしは国家公務員の給与引き上げは凍結すべきだと思います。民間企業の苦境を尻目に、どうして彼らだけを優遇することが許されるのでありましょうか。彼らには倒産の心配もないのです。
政府は、この人事院勧告を100%実施する、いわゆる「完全実施」をしようとしています。私にはこの政府の姿勢がどうしても納得できません。
民間の実情をもう少し具体的に見ますと、日立が4,000人、東芝が6,000人にも昇る大量の人員削減を行おうとしています。リストラの対象になったある人は「懸命に尽くしてきた恋人に突然“私はあんたを利用しただけよ”と手のひらをかえされたようなもの」と厳しい会社の態度に怒りをあらわにしています。リストラにあった人たちが再就職するのは容易なことではありません。いま、ハローワーク(職業安定所)に足を運ぶ人達の姿が絶えません。しかし、ほとんどの人が自分の条件に合う新しい仕事を見つけることができないのが現状なのです。
こうした民間企業の大胆なリストラは、企業収益の落ち込みによるものであります。たとえば大手商社の丸紅が46年ぶりに赤字決算を計上、その額は▲320億円にも昇っています。ゼネコン大手の清水建設は上場以来初の赤字として▲450億円を計上、社員数を1,000人削減することになりました。一方、かつては健全経営の見本だった銀行業界も、大幅な公的資金の投入を受け入れると同時に、21銀行で1万7,000人もの行員を削減し、人件費を計▲8.7%減らそうとしています。民間企業がいかに苦しい立場にあるか、枚挙にいとまがありません。
神奈川県は先日、危機的な財政状況から、▲200億円の歳出削減を見込む職員賞与のカット案を明らかにしました。他の自治体でも同様の計画を検討していることが伝えられています。不況の深刻化により、98年度の国の税収は▲6兆円程度減収する見通しであり、赤字である国債発行額は30兆円にも達しそうです。
公務員は国家・地方を問わず、憲法で「公僕」と明記されています。「公僕」とは国民・住民に奉仕する職を意味します。国民や住民が苦しがっているのに、それを見て見ぬふりをするのでは「公僕」たりえません。国民や住民と苦楽をともにするのが当然なことなのです。私、桜田義孝は、このような考えから、国家公務員の人事院勧告の完全実施には、断固反対し、国政の場でこれを強く主張してまいる所存であります。
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