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今回の通常国会では、日米防衛協力のための指針に関連するいくつかの法案が審議されます。わたくしも、ガイドライン特別委員会の委員に選出され、この問題の政策形成に直接的に参画することとなりました。この絆8号では日本の安全保障政策について述べようと思います。
わが国は、過去に太平洋戦争敗戦の歴史があるため、国の安全保障に対する議論が国際的にみて、極めて無知・無理解な状況であります。
わたくしは、これは明らかな失敗であったと考えております。今回のガイドラインの問題も、「米国の手助けをして戦争に巻き込まれる」とか、「わが国を再び軍国主義国家に戻すつもりか!」といったような感情論が一部にありますが、これは誠に嘆かわしく、国民の1人として残念なことであります。こうしたことを主張し続け、日米安保にも、偵察衛星の導入にも、新ガイドライン策定にも、安全保障の議論すらも、何でも反対!反対!の人たちは、ついこの間の北朝鮮のミサイル発射、テポドンの脅威をどのように捉えたのでしょうか?
安全保障政策は、社会保障政策や教育政策と同じ国家の基本政策の根幹であります。自国民の生命と財産はもちろん、日本の伝統・歴史・文化・価値観を、他国の侵略行為から守るのは極く当たり前の自然権であります。わが国が軍隊をもてば、イコール軍事国家になるなどとというのは全く的外れであり、非現実的な極論に過ぎないのであります。アジア情勢に緊迫感が増す中、国民1人1人がこの愛すべき国土を守るため、一体何ができるのかを真剣に考えることが何より必要であります。
今回の新ガイドラインについても、いざという時に、日米が協力してどのように対処するかを規定するものであり、同盟国間では存在するのが当然であります。周辺で日本の平和を脅かす事態が発生した時に、米国とはどの分野でどのように協力できるのか、緊急時民間施設等はどのように使えるのか、地方自治体とはどのように連絡・協力体制するのか、今の法制度では全く決まっていないのが実情であります。
しかし、政治というものは、震災対策同様安全保障政策についても、常に最悪の事態を想定し、備えを完全にしておかなければなりません。今回のガイドラインを巡る国会審議は、正にそれを冷静に議論し、世界の中で普通の国「日本」として存在しようとするものであります。わたくしは、一刻も早く新ガイドライン法案が国民の多数に支えられて成立するよう、全力を尽くすつもりであります。
皆様方にもご理解とご支援のほど、よろしくお願い致します。
(安全保障政策と新ガイドラインを巡るQ&A)
Q1. ガイドラインとは一体何ですか?
A1. ガイドラインとは、正式には、「日米防衛協力のための指針」の指針のみの英訳から、通常、「ガイドライン」と呼ばれるているものです。つまり、日米政府間で取り決める防衛協力の方針・枠組みのことであります。
前の旧い「ガイドライン」は、昭和51年に開催された日米安全保障協議で設置され委員会における研究・協議の結果、昭和53年に策定されました。内容的には、日本が他国から攻撃を受けた場合の自衛隊と米軍の協力に重点をおいてまとめられたものです。
しかし、その後、冷戦の終結や地域紛争の増大、大量破壊兵器・ミサイルの拡散といった新たな危険が増大するなど、特にアジア太平洋地域でも国際情勢が変貌してきました。そこで、冷戦後の国際情勢に対応し、アジア太平洋地域の平和と安全がより重要になっているという認識の下、日米の防衛協力をより効率的なものにするため、ガイドラインの見直しを行うことを日米政府の間で確認するに至ったのです。
実際には、平成9年9月23日、ニューヨークで行われた日米安全保障委員会で、新ガイドラインは策定されました。
Q2. そもそもわが国の防衛政策の基本方針はどのようなものですか?
A2. ガイドラインを議論する際の基本ですね。日本は、過去のような軍国主義国家にならないように、国防政策について次の4つの方針を決めています。
(1) 国際連合を応援し国際協調を重視し、世界平和の実現を期すること
(2) 国民生活を安定させ、国を愛する心を尊び国家安全を確保するための基盤を確立すること
(3) 自衛のため必要な限度で効率的な防衛力を漸進的に整備すること
(4) 外部からの侵略に対しては国際連合がこれに対処するくらい強力な存在になるまでは、米国との安全保障体制を基本として対処すること
の4つの原則です。
Q3. いざという時、米国は本当に日本を守ってくれるのですか?
A3. 日米安保条約では、わが国が攻撃された時は、米国は共同してこれに対処することを約束しています。米国は機会あるごとにこの約束を堅持すると明言しており、この点について懸念はありません。
また、米国は、安保条約に基づきわが国の軍を駐留させておりますが、このこと自体が抑止力としての役割を果たすものと考えられます。
しかし、約束は何の努力もなしに守られるものではありません。約束が履行されるには日頃からの両国間の良好な関係を築く必要があります。政治・経済・文化面などさまざまな分野でお互いに代え難いパートナーとしての信頼関係を築き上げることが必要であります。
さらに、次のことを忘れないでいただきたいと思います。
防衛政策の根本をなすのは、米軍の空母でも核ミサイルでも、ましてや自衛隊の戦闘機でもありません。自分の国は自分たちで守るんだという気概と決意であります。こうした意識を国民ひとりひとりがもつことが何よりも必要なことです。自分の国を守るために、自ら何の努力もしないような国であれば、誰も守ってくれるはずがありません。
(基本的な防衛政策) (1) 専ら守りに徹した防衛
(2) 軍事大国にならないこと
(3) 非核三原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)
(4) 文民統制(総理大臣が自衛隊を指揮監督)
Q4. 北朝鮮の弾道ミサイルなどにはどのように対処するのですか?
A4. 現在の北朝鮮は、金正日総書記の支配下、経済は混乱し、大変危険な状況です。北朝鮮国家は金正日を唯一の指導者とした宗教的な独裁国家であり、ひとたび総書記の勅命が下れば何をするかわかったものではありません。事実、この前はテポドンなる弾道ミサイルが日本を越えて太平洋に落ちるなど、全く信じがたい大事件が発生しました。
弾道ミサイルの攻撃からわが国を防衛するには、米軍の強力が不可欠であります。つまり、現状では、わが国の安全保障政策は、自衛隊と日米安保条約がセットになって始めて万全な体制となるのです。
また、弾道ミサイルの飛来に対処するため、わが国の防衛体制の総点検を実施すべきであります。これまでわたくしも強力に推し進めてきた情報収集衛星による情報収集分析活動の充実や、防空体制強化を実現する弾道ミサイル防衛(BMD)を充実していく必要があります。また、日米安保体制の信頼性を高めるためにも、新ガイドライン関連法案を早期のうちに成立させることも重要であります。
Q5. 新ガイドラインの目的・意義は何ですか?
A5. 新ガイドラインの目的は、(1)平素から行う協力、(2)日本が攻められた時の対処行動等、(3)日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重大な影響を与える場合(周辺事態)の協力、以上3つの分野における検討を行い、平時および緊急事態における日米両国の役割並びに調整のあり方について、一般的な大枠と方向性を示し、日米防衛協力体制をより効率的かつ強固なものとすることにあります。
いざという時に何も決まっていないのでは、極端な話、全く動けないわけです。その時になって国は何もできないなどと文句をいっても遅いのであります。
新ガイドラインを一日も早く成立させ、国家の平和と安全を確保しなければなりません。
Q6. 新ガイドライン中の「周辺事態」とは何ですか?
A6. 「周辺事態」とは、わが国周辺の地域における、わが国の平和と安全に重要な影響を与える事態のことです。 ある事態が、この「周辺事態」に該当するかどうかは、その事態の規模、状態などを総合的に考えて判断します。ですから、重大な問題地域をあらかじめ特定できないという意味から、よくいわれる「地理的概念」にはなり得ないのです。
野党各党は、金融システム問題の時と同じように、感情論にすりかえるため、やれ台湾だ中国だと騒ぎますが、そもそもあらかじめどこの国とどのような問題が発生するかわかるわけがないのです。
周辺事態が一体どこの国を指しているのか、仮想敵国はどこなのか、こんなことで面白おかしく報道したり騒いだりする方が、よほど危険なことであります。
Q7. 「周辺事態」における日米協力とは、具体的にどんなものですか?
A7. 第一に、日米がそれぞれ主体的に行う活動として、救援活動、避難民への対応措置、捜索・救難、非戦闘員退避活動、経済制裁に関する協力があります。
第二に、米軍の活動に対する支援として、施設の使用や後方地域支援(補給、輸送、整備、衛星、警備、通信など)における協力などがあります。
第三に、運用面における日米協力として、警戒監視、機雷除去、海・空域調整の各分野での協力などがあります。
Q8. 新ガイドライン関連法案はなぜ必要なのですか?
A8. それは、新ガイドラインの内容を実行するためには、現行の法令では十分に対応できないからであります。わたくしたちは、今回、ガイドラインに沿った防衛政策を実現していくため、新ガイドライン関連法案を取りまとめ、国会に提出したのです。
新ガイドライン関連法案とは、
(1) 周辺事態に際して、米軍の後方地域支援などを実施することでわが国の平和と安全を確保するための「周辺事態安全確保法案」
(2) 米軍と自衛隊の間で物品および役務の相互提供をスムーズにするためのACSA(日米物品役務相互提供協定)を改正する協定
(3) 緊急事態における海外の日本人などの輸送のために自衛隊の船舶等の使用などを可能とする自衛隊法の一部を改正する法律案
―― の3つであります。
わが国の平和と安全を実現するためにも、これら法案などの早期成立・承認が必要です。
Q9. 地方公共団体と民間等私たちの協力についてはどうですか?
A9. 新ガイドライン関連法案は、わが国の平和と安全に重要な影響を与える国家的な危機に対して対応するためのものです。したがって、その重要性を考えて、地方公共団体などに対する協力要請についての規定があります。具体的には、関係行政機関のトップが、法令や基本計画に従い、地方公共団体の長等に対し、必要な協力を求め、依頼することができるとなっています。例えば、港湾施設などの使用についての協力や建物・設備などの設置許可についての協力などがあります。
近所が火事になったり、震災が起こったりした時、住民同士が協力し合うように、一度周辺事態が発生した際、わが国を守るため、地方公共団体や民間、わたくしたちが一丸となって一致協力して対処することは当然のことであるといっても過言ではありません。
したがって、新ガイドラインや周辺事態安全法案を危険と考えることこそ誤った考え方であり、このようなことを主張する人たちは、国家の安全保障政策について真剣に考えておらず、これこそ正に、大変危険なことであるといわざるを得ません。
終わりに……
以上、防衛政策と新ガイドラインということで、Q&A方式で極力わかりやすく、現在の防衛政策の論点を整理してみたつもりであります。
わが国では、防衛政策を充実させるべきなどというと、軍国主義者か何かのようにいわれることが多いのが実情であります。
しかし、世界の常識からすれば、これは大変異常なことです。言い換えれば、それだけわが国の国民は戦争が映画の中だけのような平和に安住してきたということです。東西冷戦という「たが」が外れた現在、多くの国民が考えているほどわが国の国際情勢は甘いものではありません。
わたくしたちは、平和な時でも、わが国の主権、国民生活の安全を自分たちの手でどのように守っていくことができるのかを、もっと真剣に考えていかなければならないのです。
今回のこの号の内容が皆様の防衛政策に対する理解の一助となることができれば幸いです。
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