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<はじめに>
さて、先回の絆では、国民的関心の深い日米ガイドライン関連法案と防衛政策ということで、お話をさせていただきました。同法案は、皆様方のご支援もあり、何とか無事衆院を通過し、現在、参議院で審議中、今国会会期中に成立見込みであります。日米ガイドライン特別委員会の委員としてこれまで集中的に審議に携わったわたくしと致しましても、ほっと胸をなで下ろしているところであります。
しかし、今回の第145回通常国会におきましては、まだまだ重要案件が山積みであります。わたくしも党本部各部会・調査会における会合や会議、委員会の連続で、大変あわただしく緊張感に満ち満ちた日々をうち過ごしております。
そこで、今回のこの10号におきましては、現在、審議中である重要法案の中で、国民的にも特に関心の高いいくつかの法案について、皆様方にわたくし自身の主張も含めたかたちで、ご説明申し上げたいと思います。
1.中央省庁改革関連法案の内容について
まず、はじめに、皆様にも漸く馴染みも出てきた「中央省庁改革関連法案」についてお話致したいと存じます。この法案のポイント・目的を申し上げますと、行政の縦割り主義の弊害や行政機構の肥大化、行政の無駄を解決するため、@首相のリーダーシップの強化、A政策分野の統合による政府のスリム化(=省庁数半減)、B独立行政法人制度の導入を実施するということであります。
(首相や内閣のリーダーシップを強化)
首相や内閣のリーダーシップを強化するという点については、わたくしは前々から主張していたことであり、こうした改革を率先として推し進めて参りたいと存じます。わたくしは、常々、今後の世の中は、行政主導ではなく、市場主導型の創造的社会として実現されていかなければならないと訴えて参りました。
活気にあふれる創造的な国家社会を実現するためには、市場のニーズや世の中の流れ・動きに敏感である有能な政治家たちが、省庁の所管であるとか、前例などにとらわれることのなく、大いなるリーダーシップと創意工夫をもって次々に、全体的な視野をもった政策を打ち出していくことが求められます。言い換えれば政治主導という言葉になりますが、これは、有能な政治家を前提とするという属人的要因のみならず、当然、政治家がリーダーシップを発揮しやすい制度面からも担保されなければならない話であります。
今回予定されている一連の制度改革によって、首相が一部省庁の利益にとらわれることなく、全体的な視野から政策を打ち出しやすいような環境が出来上がることになります。具体的には内閣府という機関をつくって、内閣としての総合戦略や企画立案機能を拡充し、これに合わせ内閣官房スタッフ・役職を大幅に増員・強化することになります。
(政治家主導の政策形成を実現する副大臣・政務官制度の導入)
また、首相直轄機関のみならず、個別の各省庁においても、これまで、「あってもあまり役立たない」という意味で「盲腸」などと揶揄されてきた「政務次官」という役職を廃止し、各省庁の実質的な政策決定過程に政治家を積極的に参画させるべく、より強力・強固な「副大臣」というポストと、政策議論を活性化させ若手政治家を早くから鍛えていくという意味から、「政務官」という2つのポストを新設することになりました。
これまで、各省庁には、大臣、政務次官、政治家任用の大臣秘書官と、この程度の人員しか入り込めず、さまざまな場面で官僚に取り囲まれ、結果として飲み込まれてしまう(=青島前東京都知事のように官僚の言いなりになってしまう)ということが多々ありましたが、今回の改正により今後については、各省庁内に、大臣(1名)=副大臣(1〜3名)=政務官(1〜4名)というしっかりとしたラインが構築されることとなり、政治主導の政策立案を実現する土台が出来ったわけであります。今回の改革はそれだけ意味のある大変な改革といえるのであります。
ただし、ここで忘れてはならないのは、いくら立派な制度は出来上がっても、それを使いこなせる肝心の政治家が育たなければ意味がない、ということであります。今後は、わたくしたち政治家ひとりひとりが、国民の厳しい目の下で、より一層の自己研鑚に励まなければなりません。
(政策分野の統合による政府のスリム化・効率化)
いま、何より必要とされるのは、「活気ある社会づくり」という考え方でありますが、そうした中で、行政機関の役割・使命も変わってきております。戦後、さまざまなインフラが未整備で、国家の社会経済基盤ができておらず、物質文明の最先端にあった米国という明確な目標があったころには、行政機関が社会のあり方を細かいところまで企画したり、企業を指導したりすることが一定の効果をもっておりました。
しかし、現在のようにわが国経済社会全体が成熟した後は、社会の中にある、個人や企業の「やる気」や「創造力」といったものが最大限生かされる「政府による応援体制」を作り上げることが一番重要になって参ります。
残念ながら、わが国においては、たまたま優秀な行政機構の存在もあって高度成長を実現したため、未だに、何かといえば行政がしゃしゃり出て来て市場を統制するという考え方からなかなか抜けきれないのが現状です。行政機関には、徴税権というものがありますので、どうしても、強制的に国民からお金を摂取し後は一体どう使おうかという発想になってしまいます。「来年も予算を受け続けるため今年はどのように消化しようか?」という誠にばかげた事態が横行してしまうのであります。
こうした無駄を解消し、省庁関で予算のぶん取り合戦が起こるようなことを避けるため、現在の行政機関の数を整理し、合わせて付加価値の増大に貢献しないような官僚の数を極力減らしていこうというのが、まさに今回の省庁再編と公務員数減員の狙いであります。
具体的には、以下のとおりの内容となっており、わたくしといたしましても、しっかり実現されるよう、引き続き監視して参る所存であります。
(政府のスリム化のポイント)
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◎ |
1府22省庁を1府12省庁に大くくりして、省庁の数を半分に。 |
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◎ |
省庁の局の数を128から96へ、課の数を約1200から1000程度まで削減。 |
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◎ |
郵政事業の実施部門(現在約30万人)を公社化するほか、事務事業の見直し、国立病院などの独立行政法人への移行により、国家公務員の定員を10年間で▲25%削減します。 |
(独立行政法人制度の創設−透明性ある行政サービスに向けて−)
先ほど、わたくしは行政機関というものは、「はじめに税金ありき」という発想に陥る危険性について申し上げました。それに加えて、行政機関の特徴としていえることは、彼らは「お金のもうけ方を知らない」ということであります。企業であれば、いくら利益をあげたかが一番重要になりますから、利益を上げることのできない企業や社長さんは淘汰されていきます。だから経営というものに自然と緊張感が生まれ、無駄がなくなり効率的なサービスが提供されることとなるのです。
しかし、行政機関にはこの発想がありません。そもそも行政は利益第一主義ではありませんから、当然といえば当然なのでありますが、国民の税金を使う以上、無駄を防ぎ効率性を実現しなければならないという意味では、行政にも企業経営に共通した部分があるといえるのです。
わたくしたち自由民主党が打ち出した「独立行政法人」という考え方も、行政の公共目的を忘れぬまま、何とか組織としての無駄を防ぎ、効率性と透明性ある行政サービスを提供できないものかという問題意識の下、考え出されたものであります。英国には、行政の企画部門と実施部門を分けるという「外庁制度」いわゆる「エージェンシー制度」というものがあり、今回の案はそれを参考に致しております。
独立行政法人の内容を簡単にいいますと、まず、中央省庁から事業性の強い部局を法人として切り出します。そして、運営面を自己責任化し総務省等の第三者評価機関に運営・効果を評価させ、結果を国民に公表するという仕組みを基本としています。これにより、仕事の成果が明らかになり、より良い行政サービスが提供されるというわけであります。
ただし、現状独立行政法人化が確定しているのは、皆さんになじみの薄い専門研究所のようなものばかりであり、今後の制度運用面においてなし崩しのようなかたちになってしまう危険性も十分にあります。
わたくしと致しましては、今後とも、効率性と透明性ある行政を実現すべく、この独立行政法人制度が最大限生かされるようしっかりと監視していくとともに、制度の更なる充実や対象機関の拡大等に全力投球してくい覚悟であります。
2.地方分権推進関連法案の内容について
現在審議されている重要法案のひとつに、地方分権の推進を図るための関係法律整備等に関する法律案があります。いささか長い名前ですが、要は地方分権を推進するために関連法規を一挙に改正・整備しましょうという趣旨の法案であります。しかし、ニュース等では何となく流れていても、「一体これまでとどう変わるの?」というのが国民の皆さん方の正直な思いであろうと思いますので、法案整備のポイントとわたくしの意見をお話いたしたいと思います。
(地方分権とはなぜ必要なのか?)
そもそも地方分権とはなぜ必要なのでしょうか?市議会議員から国会議員までおおよそ立候補する方々のほとんどが、選挙のたびに地方分権、地方分権とパンフレット等でさかんに訴えているようであります。他ならぬわたくし自身も、自分の公約として地方分権の推進を掲げております。わたくし自身が地方分権推進をさかんに主張する理由は、「自分のことは自分が一番よくわかる」という考えによるものであります。
治安が悪かったり特段の事情もないわが国のような国の場合、過去の官僚主義の経緯から現在のような中央集権システムが維持されてしまうと、どうしてもそこに非効率性・無駄が発生してしまいます。公共事業等も含めて現在、中央省庁が所管している事業等もそのほとんどが実際地方でできるものであります。
自分のことは自分が一番わかりますし、自分で解決するのが一番であります。自分たちまちづくりのことですから、人を呼ぶためにも、お金を呼ぶためにも必死になってやるのは当然であります。肝心なことは、そうした個々の努力が報われるようなシステムをつくることであります。
「北海道と東京では税収が全く違う、ましてや山村のようなところはどうするのだ」という声も聞こえてきそうでありますが、基本的には、市でも、町でも、村でも自分たちのまちづくりは自分たちでできれば、それが一番効率的であり、そこに民主主義の達成感といったものも生まれてくるというものではないでしょうか?もしどうしてもできないというのであれば、市町村合併をして人材的にも対応力のある地方政府として国全体を再構築していくというのも有効な対策であります。
(今回の地方分権推進法案のポイントについて)
今回の法案のポイントとしては、まず、国と地方の分担内容を明確に区別するということがあります。都道府県や市町村を国の機関として、国の事務を処理させる仕組みであるこれまでの「機関委任事務制度」を廃止し、これに伴って地方公共団体に対する国の包括的な指揮監督権限等を原則廃止するという内容であります。これにより、機関委任事務は、地方自治体が独自に処理する「自治事務」と、国が本来なすべき処理を委託して行わせる「法定受託事務」に明確に分けることとなります。
具体的に自治事務として区分されるものには、皆様の生活に関わりが深い代表的なところで、都市計画の決定、土地改良区の設立認可、飲食店営業の許可、病院・薬局の開設許可などがあります。また、法定受託事務については、国政選挙、旅券交付、国指定の統計、国道の管理等が挙げられるところであります。また、これに関連し、都市計画法や、食品衛生法など全部で351もの法律を改正することになります。
また、国の地方に対する関与については、公正・透明の原則に基づき、これまでの教育長の任命に関わる文部大臣の承認や生活保護事務に関する厚生省の指揮監督、公営住宅管理や公共下水道工事等に関する建設大臣の指示などの関与が廃止されることとなり、地方債発行に関わる自治大臣許可権などは縮減されることとなります。そのほかにも、権限委譲の推進や必要規制の見直しなど、今回の関連法改正は多岐に渡っており、その根底には、国の仕事と地方の仕事を国民に対しわかりやすく透明なかたちで区分しようという自治の精神があるといえます。
地方分権のための議論は始まったばかりであります。今後は、地方自治強化の受け皿づくりのための「市町村合併」議論も盛んになってくることでありましょう。
わたくしといたしましては、各地方自治体が独創性をもって競争し、わが国全体が地方からも活気づくよう、引続き地方自治を推進する関連法整備に全力を尽くして参りたいと考えております。
3.組織的な犯罪に対処するための三法案の内容について
最後に、今、民主党や社民党が猛反発している「組織的な犯罪に対処するための3法案」の概要と目的についてお話致します。
最近のオウム裁判や暴力団抗争などにみられるように、近年、犯罪は凶悪化の一途をたどっており、そのひとつの特徴として「組織化」という点が大きな問題となっております。かのオウム事件において、何人も人が殺されていながら真相発覚が遅れたのは、組織的に大掛かりな隠蔽工作が行われたからにほかなりません。ほかにも、悪徳商法や暴力組織による麻薬・銃器の密売など、事態はますます悪くなっており、良識のある市民であれば「何とかしなければ」という当然の思いがあることと確信いたします。
また、国際的にも国連やサミット党において、組織的な犯罪対策が重要課題として継続的に取り上げられております。
そこで、今回、わたくしたちは、(1)組識的な犯罪に対する刑罰を重くすること、(2)犯罪による違法な収益に関する処罰の厳正・充実化を図ること、(3)殺人や薬物・銃器犯罪等に関する捜査のための通信傍受を合法化すること、C証人の安全に配慮する措置を拡充すること、を柱とする関連3法案を審議致しているところであります。
民主党などは、通信傍受に関する法律案について、それはプライバシーの侵害などと騒いでおりますが、それでは勇気ある捜査員が犯人のアジトに潜入することもプライバシーの侵害とでもいうのでしょうか?
これは国際常識からかけ離れた誠にばかげた理解であり嘆かわしい限りであります。
わたくしたちは、今こそ平穏な市民生活を脅かし、健全な社会経済の発展に悪影響を及ぼす組識犯罪に対しては、断乎として対応を強化すべきなのであります。そのためにも今回の法案の早期成立のため、わたくしは全力を注いで参る覚悟であります。
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