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1)はじめに……
先日12月15日をもって、会期48日間で開催されていた第146臨時国会が閉幕致しました。しかし、国会が終わったといっても、わたくしも含めて多くの議員が、例年通り税調の会議や予算折衝等で、年内ぎりぎりまで、国会活動に手いっぱいの状態というのが実情であります。
こうした中で、後1年以内には必ず衆議院総選挙の時期がやってくるということでもあり選挙風もそろそろ吹き始めております。テレビや新聞、雑誌等は、現在、反自由民主党キャンペーンとでもいうべきものを盛んに展開しており、既に、次回選挙ではわが自由民主党が大敗するというような選挙結果予想の特集を組む週刊誌なども出始めているようであります。ちなみに、それらのどの調査をみてもわたくしは、次回選挙において大苦戦を強いられるという結果になっております。
ここで、わたくしは「待ってくれよ」と言いたいのであります。確かに自由民主党は、亀井さんの迷政調会長ぶりも災いし、ここへきて失点を重ねました。また、この絆でこれまで何度も説明してきましたが自自公連立批判というのもあります。しかし、政党はあくまでも現実的な政治・政策で競うものであります。各政党の政策活動や政党が抱える人材、ビジョン等をもう一度よくみていただきたいのであります。 日の丸・君が代問題に象徴されるように、肝心の国家論で党内真っ二つ、何でも反対、反対の時は、一致団結するような誠におかしな政党、民主党のような政治勢力を勢い付かせてはなりません。少なからず、民主党鳩山人気が増大しているというのであれば、それは自由民主党がだらし無いからであります。
ここは、ひとつ具体的な政策能力によって、正攻法で挽回していくしかありません。国民の皆様方からの期待に応えていく以外にはありません。
そこで、今回のこの絆では、わたくしたち自由民主党が先の臨時国会で成立させた法律の具体的なポイントをみていただいて、皆様方にこの国会での政策成果について評価・判断していただきたいと思います。
2)中小企業国会における中小企業政策
今回の臨時国会は別名「中小企業国会」とも呼ばれています。わたくしたち自由民主党は、今回、それだけ中小企業対策に心血を注いだと自負しております。いうまでもなく、日本経済の原動力は中小企業であります。景気回復はほぼイコール中小企業の復活・再生であり、これには、新規ベンチャー企業活動の活発化という意味も含まれています。
しかし、わが国中小企業政策の基本となるべき「中小企業基本法」は、1963年の制定以来これまでの間、抜本的な見直しが行われていませんでした。制定当時は、大企業と中小企業の格差を是正するとか、過度な競争を防止するなど、企業保護主義的色彩が大変強い理念が基本とされていたため、今の時代にはそぐわないものとなっておりました。
そこで、今回の「中小企業基本法の改正」により、まず、基本理念を、(旧)企業間における格差是正→(新)中小企業の多様で活力ある独立した育成発展と根本から変革し、政策の柱についても、@経営革新・創業者の促進(みずから頑張る企業の支援)、A競争条件整備(市場でのハンディ克服)、B環境激変への適応円滑化(セイフティネットの整備)と、以前とは全く様変わりしたものにしました。加えて、中小企業の定義も変更することで日本企業全体のカバー率も従来の507万社(99.4%)→509万社(99.7%)に引き上げられました。
詳しくは以下の図で、わが国の中小企業対策の基本精神・政策体系がいかに変更されたかを是非ご確認下さい。
また、わたくしたち自由民主党では、中小企業基本法の改正に合わせ、「中小企業事業活動活性化法」も成立させました。この法律の目玉はいくつかありますが、まず、第一は、中小企業金融公庫による無担保融資制度の創設であります。これまで、担保に乏しく融資が受けにくかった中小・ベンチャー企業向けに、事業の将来性を加味した無担保社債を活用することによって、1億円を超える資金ニーズにも対応できるようにしたものであります。
もうひとつの目玉としては、中小企業が発行する私募債に対し信用保証協会の保証を付与する制度の導入であります。わが国の中小企業は、これまで、金融機関借り入れを中心とするいわゆる「間接金融」に過度に依存してきました。このため、金融機関の貸し渋りの影響を受けて、「貸し渋り倒産」というべき事態も発生したわけですが、今回、中小企業の発行する私募債に保証を付けることで、直接金融の道筋がつけられ、資金調達の多様化が図られるようになります。
また、小規模企業の設備導入を後押しする中小企業近代化資金助成法についても、鋳物や印刷、紡績といった38業種・741種類の業種・設備指定を廃止し、新たに創業者のために使いやすいように設備資金無利子融資制度と設備リース制度を創設致しました。
さらには、組合形式での創業や事業成長ができるように、現在認められていない組合形式から株式会社への組織変更を容易にする制度改正を行ったほか、企業家のやる気に応えるため、ストックオプションにかかる付与上限の引き上げ(1/10→1/3)や、付与対象者の拡大(コンサルタント、弁理士も可能)なども合わせて実現しております。
(桜田義孝の中小企業政策の目標)
1.
店頭公開企業数を大幅に増加させます!
98年時点米NASDAQ=287社、現在日本=62社
→米国以上の店頭公開企業数に!
2.21世紀をリードする創造的な中小企業群を育成します!
→今後5年間で1万社増を実現! 3.
わが国の開業企業数を増加させ経済産業全体を活性化します!
→年間開業企業率3.7%を米国並みの10%まで引上げ!
――
因みに政府目標は、年間の開業企業数を現在14万社→24万社にアップに引き上げ、5年間で100万人の雇用純増を実現しようというもの。
いうまでもなく、日本の企業数全体の99%は中小企業であります。完全失業者が300万人を突破しているような状況下、雇用の受け皿という意味からもわが国中小企業が、良い意味で活力を取り戻し、引続きわが国産業社会の基盤としての役割を果たしていかなければなりません。そのために、わたくしたちは中小企業対策に最大限の努力を払うべきであります。今回、上記のような中小企業関連法改正のほか、わたくしが、特に力を入れてきた信用保証制度についても、中小企業資金繰り支援のため、更に10兆円の枠上積みを決定致しております。
テレビ朝日のサンデープロジェクトという番組で、信用保証を評論家が「ばらまき政策だ」と批判していました。しかし、同制度の拡充が、現在、わが国中小企業の資金繰りの最大支援材料となっていることは疑いようもありません。恐らく、この前あそこに出ていた評論家には経営というものが全くわからないのでありましょう。問題は、信用保証制度を支援材料として、今後、21世紀の厳しい時代を乗り切る意志と覚悟を各企業がもつことができるか否かにあります。
今後の中小企業政策の基本は、「企業家のやる気」が応援されるような仕組みを作ることであります。新しい商品やサービスを生み出し、消費者や社会のニーズを適確に捉えることのできる人が、更に頑張る意志を持ち続けられる社会、これから企業を起こそうと思っている若者がその能力を存分に生かし先輩に続くよう賢明に汗を流して報われる社会、そのような社会こそが21世紀のあるべき産業社会の姿であります。
どんな大企業もはじめから大企業ではありません。今やわが国を代表する大企業に成長したソニーやホンダも元はベンチャーでした。21世紀に向けて、やる気と行動力のある社長さんと企業群を応援するため、わたくしは引続き全力で中小企業政策に取り組んで参る覚悟であります。
3)悪徳金融業者を防止する改正出資法・改正貸金規制法
皆さんも、テレビ等で日栄や商工ファンドによるいわゆる商工ローン問題については、既に十分ご存じだと思います。「根保証」などという仕組みにより、連帯保証人が意識できないうちに、保証金額がどんどん増大していき、最後には、直接借金していない人のところに、「腎臓一個売れ、目玉も売れ、300万円じゃ!」と取りたて屋が猛烈な回収を行うことが社会問題となりました。
お金を借りた人が、返さなければいけないことはひとつの常識であり、そうした中、担保のないような人にとって有効な手段として「連帯保証人制度」がひとつの商慣行として定着してきたことも事実であります。ここで重要なことは、当事者も連帯保証人も、契約者がしっかりとした意識をもっていただく必要があるということであります。後で「だまされた」ではすみません。問題解決の一番有効な手だては、一人一人が、「自己責任原則」に則って契約内容をきちんと確認して行動していくということにつきるでしょう。
わたくしたちは、今回の出資法等の改正によって、来年6月から、現在は年40.004%の上限金利を29.2%に引き下げる等の改革を行いました。また、今回のような脅迫まがいの言動で回収を迫る悪質な行為は、金利の上限と異なり何の法改正の必要も無く、わが国の現行刑法に十分触れる犯罪行為であって、司法当局が厳正な対応で臨むべきであることはいうまでもありません。
わたくしは、スローガンのひとつに、「国民生活に安全と安心、安定をもたらす政治」を掲げております。働いたり、遊んだり、人間生活の基盤となるのは何より生活の安全・安心であり、安定であります。
このような社会問題ができるだけ起こらないよう、立法府の立場から、引き続き努力して参りたいと思いますので、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
参考:各種金利一覧
| 短期プライムレート |
1.375% |
| 長期プライムレート |
2.2%(興銀、12/10現在) |
| 都銀の無担保ローン金利*(車・旅行等を目的) |
6% |
| 都銀の住宅ローン金利* |
3% |
| カードローン金利* |
8.2% |
| 質屋営業法で定められた法定利息 |
年109.5%(月9歩) |
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*各種ローン金利については各銀行によって差があり上記金利は例のひとつです。
4)国民の安全を守る、オウム真理教対策法、原子力防災関連法の成立
国民の安全と安心を守るという話をしたところで、今回の国会で成立した重要な法律についてお話しましょう。まず、ひとつは、オウム真理教対策関連二法であります。今回の法律で、「過去10年以内に無差別殺人を行った団体」ということで、事実上、オウムの教団活動を規制していくことができるようになりました。公安調査庁長官の請求により、公共の安全にとって危険と判断した団体について、公安審査委員会が、公安調査官と警察官による立ち入り検査や活動報告の聴取をする「観察処分」や、検査妨害などがあった場合に、施設の使用や取得、金品寄付や団体への加入強要を禁止してしまう「再発防止処分」を実施できることになりました。これは、オウムの活動全般に大きな制限を与えることのできる画期的な法律であると自負しております。また、オウムの資産隠しを防ぐための被害者救済法も合わせて成立させております。
この絆が届くころには、あの上祐史浩受刑者も出所致します。教団の一部には被害者への謝罪や救済のための財産整理の動きもみられていますが、これらは、教団への世論の風当たりをかわすポーズに過ぎず、全く反省していないというのが圧倒的な見方であります。地方のいくつかの都市ではオウムと住民との闘争劇が激化しております。今回成立しました二法を活用して、引き続きオウムの動向を厳しく監視して立法活動に生かしていく所存であります。
また、オウムの問題と同じように日本の安全神話が脆くも崩れ去ったのが、東海村の臨界事故でありました。先日、放射能を大量に浴びた大内さんが東大病院の先生方の治療もむなしくお亡くなりになりました。このレベルの原子力事故はこの一年の世界の重大ニュースに入るくらいの信じられない重大事であります。関係者は猛反省すべきであり、絶対同じ事故を引き起こしてはなりません。
わたくしたち自由民主党では、原子力防災関連二法を成立させました。うち原子力災害対策特別措置法により、ひとたび原子力施設で異常が起こった場合、内閣総理大臣を本部長として災害対策本部を設置し避難などの指示をしたり、自衛隊派遣を機動的に行ったりすることができるようになります。また、もうひとつの核原料・燃料物質・原子炉規制法の改正によって、今回事故が起こったような核燃料施設に対する諸規制を原子力発電所並みに引き上げることしました。この法律により関係会社のずさんな管理を徹底的に取り締まっていきます。
5)景気対策に万全を期す平成11年度第二次補正予算!
今回の臨時国会の成果として、第二次補正予算案の成立を忘れてはなりません。今回の補正の規模は、国の歳出規模で6兆7,890億円、総事業規模で、18兆円にも達するものであり、政府とわたくしたち自由民主党の厳しい景気認識に基づいたものであります。
うちわけでは、物流効率化や生活基盤整備、情報通信・科学技術振興、少子・高齢化対策を中心とした社会資本整備のための公共事業費が3兆5,000億円、貸し渋り対策としての、信用保証特別枠5兆円追加を実現する中小企業金融対策費に7,733億円、住宅需要を確かなものとするための住宅金融対策費として2,001億円、新規雇用奨励金等の充実など雇用対策費として1,917億円、また、介護保険料軽減のために9,110億円も計上されております。今回の補正予算案は、まさに、打ち続く不況を打破する景気対策という意味に加え、21世紀を目前に控えた中でのわが国の直面する諸課題に幅広く対応した内容とさせていただきました。
3月、4月以降、今期の各企業の決算内容等もボツボツ出始めることになるわけですが、この時、多くの企業に収益改善がみられることは間違いないだろうと思います。各種のマクロ経済指標をみても、生産や需要動向は底固めから確実に上向いてきております。そういうわけで、一部雇用情勢にいささかの不安要因があるとはいえ、わたくし自身わが国の景気全体は間違いなく上昇に向かっていると確信致しております。
それまでは、景気回復への足取りを盤石のものとするよう、全精力を傾けなければなりません。
そして、その後は、いよいよ財政再建の話も出てくることになるでありましょう。バブル崩壊後、政府が打ち出した景気対策は、今回の「経済新生対策」で10回目、事業費は合わせて120兆円にも達します。この間、財政状況もかなり悪化致しました。今のいろいろなサービスはいわば将来の税収で賄われていることになり、わたくしたちの子孫たちは大きな迷惑を被ることになります。
早く、こうした財政再建の話もしなければならないわけですが、日本経済が今のように自身喪失の状況ではどうしようもありません。わが国の景気回復は何にも変えて優先すべき最重要課題であります。わたくしは、引き続き景気対策に万全の構えで取組み、一国も早くわが国経済を活性化できるよう全力で取り組んで参ります。
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