年金制度改正で若い世代の負担は1,600万円も減ります!
1)そもそも公的年金制度とはなんだろう・・・
先般、国会におきまして、年金改革法が成立致しました。マスメディア等では、乱闘に近い国会の混乱ばかり取り上げられ、何のための改革なのかという肝心なことがどうも国民各位に十分伝わっていないように感じます。今回のこの絆21号では、国民生活にも大変関わりの深い年金改革法の概要についてご説明を致したいと存じます。
さて、公的年金とは何でありましょうか?公的年金は、いってみれば、昔は自分の親に個人個人で仕送りをするか直接年老いた親を扶養していたものを、社会全体で高齢者に仕送りし、扶養する仕組みであります。
仕送りがいらないよう自分で老後に備えようとしても、何歳まで生きて何年何ヶ月分の備えが必要か正確な計算もできませんし、長い間にはオイルショックの時のような予想を越えた大きな物価上昇等の非常事態もあり得ますので、誰もが過不足なく、備えられるものではありません。
このように個人だけでは対応が難しい老後の生活費確保を社会全体の支え合いで行う制度であるからこそ、公的年金には、国庫負担のほか、事業者負担もあり、また、物価上昇に対応したかたちの物価スライドという考え方があるのです。
わたくし自身、この年金制度というものは、若い人も含めて、自分だけで老後の所得確保の悩みを丸抱えする必要がなくなるという意味から、極めて合理的な社会政策であると確信致しております。
最近では、確定拠出年金(401K)など私的年金も議論される機会が増えました。401Kというのは、公的年金のベースの上に、国民の老後における所得確保の一層の充実が図られるよう、既存の企業年金および国民年金基金に加え、新たな選択肢として公的年金に上乗せされる制度であります。
しかし、民間の貯蓄や401Kは、多様化する年金ニーズを補完するものではありますが、これだけで、すべての老後所得を確保できるものではありません。わたくしは、あくまで公的年金制度の枠組みも同時に維持していくことが必要な策であると考えます。
2)そして、なぜ、いま年金制度改革なのか?
今日、年金制度なしに老後の生活は考えられないというのが現状であります。例えば、高齢者世帯のうち平均所得に占める年金の割合は約6割を占めております。更に高齢者世帯のうち、年金だけが一家の収入であるという世帯の割合は実に約6割にも達している、それが現実であります。この数字だけとってみても、いかに年金制度というものが国民生活に不可欠なものかがわかります。
そして、いま、なぜこの年金制度に改革が必要なのかということをご説明しなければなりません。実は今の年金制度は、昭和30年代、まだ男の平均寿命が63歳の時に出来上がったものであります。しかし今や平均寿命は平成10年で男77.2歳、女84.0歳とハイスピードで非常に伸びております。平均寿命に制度が追いついていきません。一方で年金制度を支える若者の数はどんどん減少してきております。いわゆる少子高齢化の荒波が凄まじい勢いで押し寄せてきているのであります。
したがって、このまま年金制度を放置すれば、将来世代の負担は、現在の2倍程度にもなってしまい、そうなればどう考えても制度の維持は困難になります。「年金制度の破綻は何としても防がなければならない」、これこそが今回の法改正の目的なのであります。
ところが、民主党を始めとする野党各党は、もらえる額が減るとか、増えるとか、損得勘定により感情面で国民を煽ることのみに集中し、制度の全体について国民各位に大きな誤解を与えております。今回の改正では何より若い世代の将来負担が減るのですから、この点こそ説明すべきところを野党各党は意図的に隠そうとしているのであります。要すれば民主党は、年金制度を破綻に追い込み、政府の責任を追及することに命をかけているだけともいえます。これは一種の詐欺的行為ともいえるのではないでしょうか?
<(参考)平均寿命の推移(平成37年については推計)>
| 昭和30年 |
男:63.60歳 |
女:67.75歳 |
| 平成7年 |
男:76.38歳 |
女:82.85歳 |
| 平成37年 |
男:78.80歳 |
女:85.83歳 |
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3)今回の年金改革法の基本的な考え方は・・・
今回の年金改革法の基本的な考え方は、負担を無理ない範囲に抑え、確実な給付を約束することにより、年金制度に対する信頼を引き続き守っていくということであります。仮に年金制度が国民から信頼されないようになりますと、「将来どうなるかわからない、どうしよう不安だ」ということで、先行き不安感から人々は過度に消費を控えるようになり、貯蓄に励むことから、今以上に景気が冷え込むこととなってしまいます。ですから、年金制度への信頼確保は、高齢化の中で経済成長を成し遂げるためにも不可欠なことです。
第一に、払う側ともらう側の負担と給付のバランスが必要であります。何度も言いますが、このまま年金制度を放置すれば、将来世代の負担は現在の2倍程度という過重なものになってしまうことが確実です。これだけの負担を若い世代だけに負わせるというのは、制度の説得性という見地からも土台無理な話であり、制度を維持することは難しくなると言わざるを得ません。福祉政策というのは聞こえは良いですが、国民の負担が大きくなれば、たとえ一生懸命働いてもみんな公的部門にもっていかれるということで、労働意欲が減殺をされ、逆に経済発展を阻害することにもなりかねません。
それでは、逆に保険料率を現行水準のままとした場合、どうなるでしょうか?実態としては、現在の年金給付の6割程度の水準しかまかなえないのが現状であります。これでは生活レベルをかなり落とさなければならないことになってしまうわけであります。
したがって、どう考えても、将来世代の負担を軽減、高齢化のピーク時においても、「無理のない負担」に抑え、年金制度を持続可能なものにしておく改正が必要であります。
今回の年金制度の改正では、将来世代の負担について、高齢化のピーク時でも、労使折半の合計で年収の2割程度、すなわち、被保険者本人の負担としては年収の1割程度に止めることを決めております。因みにこれは国民有識者調査においても最も支持が多かった水準であります。
○将来世代に過度な負担とならないように制度を見直すことが必要!
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現 在 |
放置した場合 |
改正案(国庫負担1/2) |
| 月収ベース |
17.35% |
34.5% |
25.2% |
| 年収ベース |
13.58% |
26.7% |
19.6% |
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4)それでは具体的にどのように改革していくべきなのか?
それでは、この年金制度、具体的にどこをどのように改革すべきなのでありましょうか?今次改正においては、第一に給付総額の伸びの抑制、第二に支給開始年齢の引き上げ、第三に60歳台後半の在職中の年金取り扱い変更等を行い、合わせて、基礎年金の国庫負担比率も引き上げることとなりました。
以下、個別具体的に今回の改正内容についてご説明致します。
(1)給付水準の伸びを抑制していきます
まず、今回の改正では給付水準の伸びは抑制していくことになりますが、改正を行っても、今現在の年金額を物価に応じて伸ばした額は保障致します。改正後の年金給付水準は、平成12年度で、基礎年金が夫婦2人分で、13.4万円、厚生年金の報酬比例部分が、10.4万円で、合計23.8万円程度であります。
25年後に年金を受け取り始める夫婦の、これに相当する年金額は、物価上昇率等を加味して合計で41.8万円となります(制度改正前は42.8万円)。
そして、これらは、その時の、現役世代の手取り年収のおおむね6割(59%)を確保している水準であり、制度維持に決して遜色のないものといえます。
(2)物価スライドは堅持する一方で、賃金スライドについては廃止
今後、年金をもらっている人については今後の上げ幅を調整させていただくことになります。これまでについては、物価の上昇分に加えて、賃金上昇分もみていたわけですが、これからは、物価の上昇分のみに応じて年金を改定していきます。物価スライドを堅持することで、オイルショックのような時でも生活水準が損なわれるというようなことにはなりませんので安心して下さい。
少子高齢化が進んで今後現役世代の負担が増大していく中で、働いている世代の賃金のアップ分まで年金を上積みするのはどう考えても困難なことであるため、当該改正を決断致しました。
(参考)諸外国のスライド制(受給開始後)
・物価スライドのみ :アメリカ、イギリス、フランス
・賃金スライドのみ :ドイツ
(3)支給開始年齢の引き上げ・・・25年かけて60歳を65歳に!
厚生年金の1階部分については、平成6年の改正により、2001年度から2013年にかけて、60歳から65歳へ引き上げていくこととしております(女性は5年遅れで引き上げ)。
今回の改正では、その続きとして、厚生年金の報酬比例部分(2階部分)を、2013年度から2025年度にかけて、60歳支給から65歳支給に引き上げていくものであります(女性は5年遅れで引き上げ)。
年金の支給年齢を引き上げようというのですから、当然、65歳までの就業というものを促進する必要があります。わたくしは、年金生活に入った途端に生活に張りがなく病弱になってしまったお年寄りを何人もみてきました。わたくしは、常々、生涯現役政策の推進者でありたいと思っておりますし、それこそが、国の経済発展にも繋がっていくことと信じます。高齢者だからといって家に引きこもることなく、社会に参画する、これこそが少子・高齢化社会を乗り切る唯一の策であります。
今後、わたくしたちは、この年金支給改正に合わせ、高齢者の再就職援助・促進や多様な就労機会の確保を図り、年をとっても、やりがい、生きがいをもって働ける65歳現役社会を築いていきたいと思います。
(参考)
既にドイツ、イギリス、アメリカ、スウェーデンでは、年金は65歳支給です。更にアメリカは2027年までに67歳に引き上げ予定です。
(4)収入のある65歳から69歳の方からは保険料をいただきます。
今後は、65歳から69歳までの間の方についても、働いて収入のある方について、きちんと保険料をいただきます。また、賃金と夫婦の年金との総額で、月に約50万円以上の高収入のある方については、年金そのものの減額をお願いすることにしています。つまり、賃金のある高齢者には、なお現役として年金制度を支える側に回っていただくということであります。
これは、今後の急速な少子高齢化に伴って、現役世代の負担が重くなっていく中で、十分な賃金を得ている高齢者が、保険料を免除され、年金を満額受給することは、現役世代の理解を得られにくいという考え方によるものであります。
何度も申し上げますが、人間その生命が尽きるまで現役であります。60歳になったから、65歳になったから、完全に社会から退き、ただ終末を待つというのでは人間の尊厳というものに関わります。肉体や精神の衰えはあるとしても、例えば時々テレビに登場する何歳になっても生きがいをもって社会に関わって生活をしている高齢者の方々の笑顔は、皆すばらしいものであります。
要は、何歳になっても人間の幸せというものは、単に生活の糧に困らないというだけではなく、生きる意味、目的を絶えず忘れてしまっては成り立たないものなのだという認識が必要であります。
このような意味からも、わたくしは、65歳以上になっても、負担力のある方は、諸般の事情により完全に退かざるを得ない方を支える側に回る、これは相互扶助の福祉の理想にも十分かなうものであると確信を致します。
桜田義孝が年金改革法の疑問におこたえします!
Q1. 今回の改正で現在の給付が削減されるのでは・・・・・・
A1. 今日、年金制度は国民生活に不可欠な制度です。高齢者のうち、年金だけが収入という世帯の割合は約6割にも達しています。しかし、このまま年金制度を放置すれば、将来世代の負担は現在の2倍程度にもなり、制度が破綻します。今回の改正はこうした制度を守っていくための措置であり、是非必要なものであります。
今回の改正で年金額が下がることはなく、何卒ご安心下さい。
Q2. 民主党は今回の改正で年金額が1,000万円も減るといっていますが、これは本当ですか?
A2. 全く無責任かつ浅はかな議論です。むしろ、物価が上がれば各月各年でもらえる年金額も当然増えることになります。
ただし、今回の改正では、先にもご説明致しました通り段階的に支給開始年齢を65歳へと引き上げていきますので、若い世代を中心に現行制度より一生を通してもらえる年金の合計額は減少することになります。 (参考)生涯を通じての年金給付額について
| 平成11年での夫の年齢 |
現行制度(1) |
改正案(2) |
(1)−(2)(万円) |
| 20歳(1979生) |
6,100 |
4,900 |
▲1,200 |
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(「夫と妻(2歳年下)」。妻は若い時のみ厚生年金で、以後専業主婦。)
しかしであります。特に若い世代の生涯を通じての保険料負担は著しく減ることになるのであります。ここが重要なのに、民主党を始めとする野党は何とか隠そう隠そうとしております。
(参考)生涯を通じての保険料負担について
| 平成11年での夫の年齢 |
現行制度(1) |
改正案(2) |
(1)−(2)(万円) |
| 20歳(1979生) |
8,000 |
6,400 |
▲1,600 |
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つまり、生涯にもらう年金額の合計額は確かに▲1,200万円減少しますが、負担が▲1,600万円減るのです。民主党はこの点を国民に説明していません。民主党のいうように今回の改正を行わず現行制度を前提で考えると若い世代の保険料の生涯支払額は8,000万円にもなるのです。今回の改正は何より若い世代の負担軽減が目的なのです。
Q3. Q3.若い世代では払った保険料よりもらう年金額の方が少なくなるというが、本当ですか?
A3. 正しい理解では全くありません。負担ということについて、会社負担分も含めてゴチャゴチャに議論するから、そういう話になってしまいます。
会社は、社会全体で高齢者に仕送りする公的年金制度で義務付けられているから負担するのであり、その負担分は本人の懐から出たものではないため、個人が払った保険料に会社負担分を含めて計算することはそもそも間違った認識といわざるを得ません。
民主党がいつも主張するような軽薄極まりない損得勘定論に決して乗るつもりはありませんが、あえて生涯に本人が払う保険料の総額と受給する年金の総額とを比較する試算をしてみますと、どの世代においても、年金額の合計が保険料の合計を上回っており、もらう方が少ないというようなことはありません。
詳しくは以下の表でご確認下さい。
| 平成11年での夫の年齢 |
受給額 |
負担額(万円) |
| 40歳(1959年生) |
5,100 |
2,100 |
| 30歳(1969年生) |
5,000 |
2,500 |
| 20歳(1979年生) |
4,900 |
2,800 |
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(国庫負担割合1/2、「夫と妻(2歳年下)」の場合で計算)
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