桜田 よしたか
自由民主党
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広報誌「絆」
33号 外務大臣政務官としてのアフリカ3ヶ国、英国出張報告
 1.はじめに・・・

 皆さん、こんにちは、桜田義孝であります。今回のこの絆では、まず、先般3月30日から4月7日にかけての、わたくしの外務大臣政務官としての「アフリカ、英国訪問」のご報告をさせていただきたいと思います。

今回のアフリカ訪問の主な目的は、森前総理のアフリカ訪問のフォローアップとして、ケニアのカクマ難民キャンプを訪問し、鉛筆等文房具を子供たちに直接手渡すとともに、ナイロビ市内において、「救急車両および鉛筆等文房具の寄贈式」に出席し、日本のアフリカ重視の政策を理解していただくためのものでありました。

また、南アフリカ、ケニア、タンザニアの各国要人やアナン国連事務総長らとの意見交換も行い、前総理がアフリカ訪問の際、提示した「アフリカ問題の解決なくして21世紀の世界の安定と繁栄はない」との日本の対アフリカ外交の方針を再度強調させていただきました。この間、各国で活躍している青年海外協力隊隊員やJICA専門家、日系企業関係者など在留邦人とも懇談の機会を持ち、「顔のみえる外交」を実践しておられる方々を激励致しました。以下、今回の訪問のポイントについて随時述べさせていただきたいと思います。


2.アナン国連事務総長との会談について

 まず、南アフリカ(3月31日)を訪れました。ヨハネスブルクの空港から大使館までの景観はさしずめ「褐色の大地」とでもいったもので、雨量の少ないせいか大木等がほとんど見当たりませんでした。同地では早速、ミンティ外務副次官と会談しました。この会談で、秋の南ア大統領の訪日予定が米国のブッシュ大統領の来日時期と重なってしまうため訪日延期の調整を行うとともに、今後両国の相互協力のもとにサハラ以南のアフリカ諸国の諸問題に積極的に取り組んでいくことを合意しました。また、ミンティ副次官は、環境問題に関し、米国の京都議定書いわゆるCOP3からの離脱に強い衝撃を受け、日本の説得に多くを期待している旨述べられ、わたくしからは、日本は近々米国に外務副大臣を長とする団体を派遣し再考を求めることにしている旨を申し上げました。

翌4月1日には、国連の会合に出席中のアナン国連事務総長とナイロビにて会談しました。わたくしからは、「アフリカ(ガーナ共和国)出身であるアナン事務総長の再選は、アフリカ問題への取り組みを深めているわが国外交上はいうにおよばず、世界の目をアフリカに注目させるという意味からも重要なことである」と述べた後、今回の訪問の主たる目的である難民キャンプへの文房具寄贈や、わが国のアフリカ外交の基本姿勢等についても合わせて説明させていただきました。

 これに対して、アナン事務総長からは、「経済・人道援助、アフリカ開発等についてのこれまでの日本の対応について改めて感謝したい、総理訪問のフォローアップとして桜田政務官の訪問が迅速に行われたことについて御礼を申し上げたい」との言葉がありました。アナン事務総長の印象としては、日本とアフリカとの関係、外交経緯等について実に深い理解をもっているなあという感じがしました。

 会議の終了に際しては、わたくしから国連事務総長としての再選をお祈りするとともに、再選の暁には是非とも国連改革を推進していただきたい旨述べたのに対し、アナン事務総長からは、「安保理改革についても日本とともに取り組んでいきたい」と述べられました。これは、わが国の常任理事国入り問題も含めて、彼の安保理改革にかける情熱、そしてわが国の立場に対する理解の深さを象徴的に示す発言であったと認識しております。


3.カクマ難民キャンプ視察、救急車輌・文房具の引渡し式出席

 4月2日には、今回のアフリカ訪問の主たる目的のひとつである、子供達への文房具贈呈のため、カクマ難民キャンプを訪問しました。

この支援は、森前総理のアフリカ訪問の際、同キャンプの子供達が使い込んで短くなった鉛筆を順番に使って何とか勉強している姿を総理がみて、「せめてこうした子供達一人一人に必要最低限の鉛筆と紙を用意してあげることはできないものか」と感じられたことが発端でありました。

前総理は帰国後、安倍官房副長官を通じ政務官会議に対し、カクマ難民キャンプの子供達のために鉛筆を含む文房具の寄贈を検討するよう要請され、不肖わたくしが外務省内においてアフリカ担当の政務官であるので、これの取りまとめ役を務めることとなったというわけです。当初は使用中の鉛筆を贈る予定でしたが、新品のものを寄贈してくれる先を探すことになりました。その後、多くの政務官の善意と後援会の方々を中心にご寄付をいただき、最終的には金銭をかけずに鉛筆にして11万本強、用紙も53束を集めることができました。また、政務官会議としても一人あたり2万円の寄付を与党3党からも計100万円の寄付を集め、これを文具の輸送費、および現地にて輸送・配布等を行うNGOの活動費にあてることができたのであります。

わたくしは、現地到着後、国連難民高等弁務官関係者との会談、キャンプ内の病院を視察したうえで、早速、子供達の待つ「ユニティ小学校」へと向かいました。

アフリカはやはり暑かった。ギラギラと照りつける太陽の下、そこには優に300人を超える子供達がわたくしたちの到来を待ち受けておりました。

 コーラスや詩の朗読による歓迎を受けた後、男の子が「鉛筆を贈ってくれてありがとうございました。日本の生徒のように一生懸命勉強したいと思います」と何と日本語で挨拶を行いました。わたくしは、一人一人の思いを込めて鉛筆を手渡していきました。最初は緊張して行儀よく配られるのを待っていた子供達も、途中からわたくしの周りに少しずつ少しずつ集まってくるようになりました。子供達一人一人の目は非常に澄んで輝いており、アフリカの将来の着実な発展を見出すことができました。


わたくしは、「日本の人々から贈られた鉛筆や紙を使って一生懸命勉強し、将来それぞれの祖国のために、アフリカのために、そして世界のために役立つ立派な人間になってください」とのスピーチを行い、引渡し式を終えました。暑く乾いた日でありましたが、心に大きな潤いを感じられるひと時でありました。

 この翌日4月3日には、ケニアの首都ナイロビにおいて、救急車輌と鉛筆等文房具の寄贈式が行われました。救急車輌の寄贈についても、森前総理がカクマ難民キャンプを訪れた際、子供達が治療を受けている病院の救急車が故障している状況に心を痛め、帰国後、トヨタ自動車株式会社に救急車供与への協力を要請したことに端を発しております。寄贈式には、わたくしを含む外務省関係者、トヨタ自動車の方々、国連職員、NGO関係者等も出席、受け取る側であるシトゥンギ国連難民高等弁務官ケニア事務所長からは大変感謝されました。

 カクマでの視察、ナイロビでの贈呈式と一連の活動の中で、わたくしはつくづく、外交とはこのような顔のみえる「善意と行動」によって大きく前進するものであるなあと痛感致しました。今、アフリカの国々をこのようなかたちで応援することは必ずや将来のわが国とアフリカ関係を良好なものとし、国際社会の中でのわが国の地位を更に向上させることになると確信致しております。


4.その他の諸会談・訪問について

 ケニアでは、このほかモイ大統領を表敬し、円借款の実施が決定されておりませんでした発電計画への借款の早期実現につき約束したところ、先方より日本への感謝と期待の言葉を得ました。また、同大統領の日本訪問招聘についても前向きな返答がありました。このほか、青年海外協力隊隊員や、JICA専門家の活動現場を視察し、懇談の機会に忌憚のない意見交換を行うことができました。

 4月3日から4日にかけて訪問したタンザニアにおいては、ムカパ大統領、スマイエ首相、キクウェテ外務国際協力相他との懇談の機会を得て、森前総理の訪問がかなわなかった同国首脳に対して、わが国の対アフリカ外交の基本姿勢について説明するとともに、日・タンザニア関係全般について意見交換を行い、改めて良好な日・タンザニア関係を確認することができました。あまり知られていませんが、タンザニアは世界の中で10本の指に入るほどの親日国であります。いかに親日的であるかということは、「森総理が南ア共和国からケニアに向けてタンザニアの上空を通過する時、飛行機をタンザニアに強制着陸させたいくらいに悔しかった」という政府首脳の発言からもわかりました。

この後、タンザニア最大のNGO「タンザニア家族計画協会」の青少年センターを視察、また、青年海外協力隊員やJICA関係者との意見交換を行ったほか、日系企業関係者との懇談を行い、日本の援助がタンザニアの近代化のため果たしてきた役割等について具体的な説明を受けました。それにしても、日本の鈴木宗男代議士がタンザニアの小学校に私財1,000万円を寄附していることにはビックリ致しました。鈴木議員はアフリカでは広く知られた存在です。

以上がわたくしのアフリカ訪問の主な内容であります。アフリカはさまざまな意味でまだまだ途方も無い潜在力を秘めた地域であり、わが国としてもその着実な開発・発展に積極的な役割を果たしていくことが、先行き必ずやわが国と世界の利益に資するものと確信致しております。しかし、インフラの整備等基本的なところで、まだまだ、その発展の道のりには大きな障壁があるのも事実であります。

わたくしと致しましては、今後引き続き、良好な対アフリカ外交を展開し、両国利益増進のため、その先兵となって働いて参りたいと考えております。


5.英国外務政務次官、外務事務次官との会談

 アフリカ訪問の帰りに、わたくしはかねてよりの考えていた英国の議会制度視察のため、ロンドンに立ち寄りました。わが国では今年1月から政治主導のための副大臣、大臣政務官制度が導入されましたが、もともとその参考となった英国政府の当事者から直接話を聞いてみたいと思っておりました。実際お会いしたのは、英国外務省のスコットランド外務政務次官とカー事務次官であります。

 官僚のトップであるカー事務次官は、「官僚が国民から選ばれた存在でない以上、政治家が深く政府に関与することは良いことである、例えば、えひめ丸事件との関係でホノルルにて果たされた貴官の役割を高く評価しているが、かかる役割を官僚が果たすことはできない、なぜなら国民によって選ばれた政治家には官僚にはない信用性(credibility)が備わっているからである」と話されました。わたくしも全く彼には同感であり、今後わが国における政治主導のシステムを成功させるため全力を尽くすことを説明させていただきました。

 また、スコットランド政務次官は、日本の国際的役割・責任に関して、「国際社会での存在感を増すためには、属人的な要因が大きく、国際会議で得た個人的なコンタクトをその後まで細かくフォローすることが肝心である」と指摘されました。わが国の政務の外交当局者、与党議員に関し、この点は大いに改善点があるように感じます。

 今回の訪問でつくづく感じたことですが、英国という国には、国際的に経済力以上の堂々たる「存在感」というものがあります。多くの国々が今でもこの国の歴史や伝統、存在そのものに敬意を払っている。わたくしは、この点を重視すべきであると思うのです。国際的に信用される国、尊敬される国になるためには、経済力だけではない世界に通用する文化的価値観を持った「顔のみえる国」になることが第一であると改めて痛感させられました。外交の先端を担っていかなければならないわれわれ政治家に課せられる責任は重いと思います。この点、肝に銘じて、わたくしも「世界から尊敬される国日本」を目指して引き続き全力を尽くして参りたいと思います。



○小泉純一郎新総裁誕生について

 新しい自由民主党の総裁として小泉純一郎氏が決まりました。小泉さんは、全国47都道府県連の党員・党友による選挙において、41都道府県で一位を獲得、都道府県連票141票のうち123票という膨大な票を獲得して、更に両院議員総会においても、有効投票数484票のうち、過半数を超える298票を獲得、第20代自由民主党総裁に就任し、事実上内閣総理大臣になることが決定しました。

今回の総裁選においては、一般党員・党友投票の重みが県あたりこれまでの1票から3票までに増えたことにより、各都道府県でこの3票の帰趨を決める予備選が注目を集めることになりました。候補者は全国各地を遊説してまわり、毎日のようにテレビに登場して政策を訴えたわけですが、全国国民まで含めて、ここまで派手に活動が展開されたという前例はなく、このこと自体、党員のみならず国民全体に自由民主党を知っていただくという意味で大変意義深かったと考えます。

 今回の出た候補者4人はいずれも粒ぞろいであり、わが党としてどこに出しても恥ずかしくない人物ばかりであります。中でも麻生太郎さんなどはわたくしもかなり前から注目していた逸材であり、今回ほかの3人と堂々と渡り合ったことによってかなり株を上げた方ではないでしょうか。政策的にも、4人のそれぞれ主張・論点、すなわち、構造改革や景気対策、憲法問題等の争点は大変はっきりしていてわかりやすく、このような重要な問題が改めて整理されたかたちで国民の前に提示されたことは貴重なことであったと思います。

 そして、結果として党員、国民が望んだのは大胆な変革ということであります。旧態依然たるしがらみを振り払って、新しい日本をつくるためには、まず、自由民主党が新しくならなければならない。そのためには、少々劇薬かもしれませんが、小泉さんが良かったのだろうと思います。多少強引と言われようと、今後小泉さんにはドンドン改革を行ってもらいたい。この劇薬がうまく効けば、必ずや自由民主党は国民からより評価される政党として再生することができると思います。

決して「変人」ではない、「変革の人」小泉純一郎さんを党としても全面的に支えるべきでありますし、わたくしも応援したいと思います。



○李登輝前総統の訪日には何の問題もないはずである!

1.李登輝前総統の訪日を巡る政府内の混乱のみっともなさ

 日本政府は20日、心臓病の診察のため訪日を希望していた台湾の李登輝前総統に対し、医療行為への限定などを条件に査証(ビザ)を発給、李前総統は22日無事来日しました。この件では国民の皆様にも大変お見苦しいところをおみせし、外務省の一員として、わたくしも深くおわびしたいと思っています。以下、わたくしの個人的な考えを述べさせていただきたいと存じます。

 自ら京都大学に学び大変な親日家である李前総統は、実は前前からたびたび訪日を希望しておりました。総統在任中の94年に広島アジア大会、95年にAPEC大阪会合への出席を検討、また、総統退任後の昨年10月にも長野県松本市で開かれたシンポジウムに出席を希望しましたが、いずれも「日本は二つの中国を認めるつもりか」と中国が猛反発し、日本政府がビザを発給しない姿勢を示したため、申請を見送っていたのです。そして、今回は特に心臓病の診察を岡山県倉敷市の病院で治療を受けることを希望され、今月10日、日台の窓口である交流協会台北事務所にビザの申請を出すに至ったのであります。森総理も李登輝氏の訪日について前向きに対処する認識を示しました。

 ところが、歴史教科書問題やセーフガード(国内農家保護のため中国からのネギ、シイタケ等輸入制限措置)など、ただでさえゴタゴタ続きの日中関係を更に悪化させたくない外務省幹部は大変混乱し、これを受けて、河野外務大臣や官房長官が「正式なビザ申請はされていないし受理していない」などと発言。こうした中で衛藤外務副大臣が「ビザは出ている」などと外務大臣等と矛盾していると受け取られる発言等を行うなど、政府内部の混乱を露呈することになってしまいました。これは大変見苦しく、外交のリーダーシップ不在以外の何者でもありません。

河野外務大臣は「どうしてもビザを出すというなら自分は辞任する」とまで言ったと報じられておりましたが、結局森前総理の一言で李登輝氏の訪日が可能になりました。森前総理についてはいろいろ言われましたが、先の歴史教科書問題や今回の李登輝訪日問題等に関する処理をみていると実にしっかりとした対応をしていると思います。


2.外交上の軸足をしっかりと持つことが一番重要である!

こうなると今度は中国が黙ってはいません。中国外務省報道官や陳健駐日大使が「日本は李登輝氏訪日によりもたらされる重大な結果に全責任をもつべきだ」と早速強く抗議してきました。

ただし、ここではっきりと申し上げておきたいことは、今回の李登輝前総統の訪日は医療行為を目的としたものであって、人道上からもビザ発給をとめる理由はどこにもありません。いくら総統を務めたとはいえ今は民間人となっている李登輝氏の来日にまでとやかく言ってくる中国の姿勢は柔軟であるとはいえないでしょう。中国は、このところ歴史教科書検定問題も含め「日本はどうなるかわかっているのか?」とでもいうように、対日批判を繰り返しております。

むしろ今回ここまで問題が大きくなってしまったのは、日本が李登輝氏訪日判断を先送りしてきたことにも原因があります。日本が筋論でもっと早くにきちんとした判断をしていれば、政府内でこんなにもめることもなかったし、わが国の冷静な態度をみれば、中国も過剰反応しなかったと思います。

日本外交においては、何か事あるたびにすぐビクビクして回りの顔色をうかがう、そんな印象が否めません。だから付け込まれて言いたい放題のことを言われるのです。毎年膨大な経済援助をしている国に何でここまで言われるのか、多くの国民は疑問を感じることでありましょう。他国の顔色をうかがいつつ自らの価値観を示せない「顔のみえない外交」を繰り返してきた外務省の罪は、外交機密費問題以上に重いものがあると確信致します。やはり、外交は外務官僚が主導すべきものでは全くありません。国民から選ばれた政治家が、国際スキルを高めて議員外交を展開していくことがより一層重要になってきていると思います。

一番重要なことは、右往左往しない外交上の価値観、軸足をはっきりとさせなければならないということであります。日本がこれをはっきりとさせることこそわが国の国際社会での存在感を高めることにつながると、わたくしはたびたびこの絆でも訴えて参りました。融和することと、へつらうことは全く違います。国際社会では言うべきことはしっかり言わなければならない。わたくしは、引き続き「顔のみえる外交」と「世界から尊敬される国家」を目指してがんばりたいと思います。

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