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| 38号 米国同時多発テロの衝撃と日本の取るべき対応について |
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1.世界人類の敵、国際テロは断じて許してはならない!
皆さんこんにちは、衆議院議員
桜田義孝です。皆さん既にご存知のように、先般9月11日の日本時間夜半、米国において民間航空機を使った同時多発テロが発生致しました。
私は、その時ある会合に出席中で携帯のiモードのニュースでそれを知りましたが、はじめは単なる事故かと思いました。しかし、家に帰ってからテレビで、2本のツインタワーに正確に二機の旅客機が次々に衝突、国防総省にも、ピッツバーグにも墜落したその生々しい映像をみた時、大規模国際テロを確信するとともに、戦争にも近い、その破壊規模と被害の凄まじさにかつてない衝撃を覚えました。
今現在でも、世界貿易センタービルの瓦礫の下には、6,000人以上の行方不明者が存在しているというこの同時多発テロは、いうまでもなく世界史上最悪のものであります。そして、わが国でも多くの死者、行方不明者を出しました。政治家として、そして、一人の人間として、こうした暴挙を許すことはできません。激しい怒りを感じております。
さて、テロの影響は、おびただしい数の貴重な人命のみならず世界経済をも直撃しました。取引が停止されていたニューヨーク株式市場が再開されると、売りが殺到、ダウ平均でみてもここ数日で1,000ドル、パーセンテージにして10%も下落致しました。一挙に米国国民は100兆円もの資産を失ったことになります。米国では国民の50%が株を持っており、こうした暴落、そして、テロによる心理的不安感もあって、米国の個人消費はしばらく低迷することが避けられそうにありません。
そして、その影響は日本経済も直撃しました。事故の翌日、東京証券取引所は混乱を避けるため、値幅制限を厳しくしましたが、日経平均はあっさりと1万円の大台を割り込み、現在でも9,000円を割るかどうかという瀬戸際まできております。株式市況の低迷は、確実に消費者心理を冷やしましたが、金融機関の株式含み損も発生するなど、不良債権処理もままならない状況になってきました。「ようやく底か」といわれていた日本経済にとっては誠に甚大な影響がもたらされました。
その一方で、事件を指揮したといわれているイスラム過激派指導者、オサマ・ビンラディンは、各国の株式市場において、カラ売りという信用取引によって大もうけした疑いがあるというのです。
今のところ、世界の政治経済をあっという間に大混乱へと陥れたビンラディンの思う壺になっているのは事実でしょう。そして、だからこそ、われわれはこうした非人道的破壊活動に対して、世界と民主主義に対する敵対行為として徹底的に戦う必要があるのです。われわれはテロの再発をあらゆる手段をもって阻止しなければならないのです。
2.集団的自衛権の行使ができるよう憲法解釈を変更すべき
さて、私たちはこの痛ましく凄惨な事件の傍観者では決してありません。既に発表されている金融機関行員等多くの犠牲者・行方不明者を出している当事国であります。そして、また、わが国は米国と緊密な協調・協力体制を築いている同盟国でもあるのです。
米国のブッシュ大統領は、既にFBIの捜査によりビンラディン氏のテロへの関与を確信し、軍事行動を開始しようとしております。わが国としても、前述したような観点から、是非米国のテロ撲滅活動を支援すべきであると考えます。しかし、ここで大きな問題があるのです。
湾岸戦争の時を思い出してください。湾岸戦争もイラクが突如クウェートに侵攻、米国をはじめとする諸外国が国連安保理決議に基づき多国籍軍を組んで暴虐に対峙したというケースでありました。この時も、わが国は、集団的自衛権を国際法上保有はすれども憲法上行使できないという、内閣法制局による法解釈のしばりから、最終的に自衛隊派遣ではなく資金援助というかたちで貢献することになりました。
そして、停戦後、サウジアラビア等関係国の感謝メッセージの中でも、日本についてはほとんど触れられないという、国民感覚からしても非常に嘆かわしい結果となりました。その時のお金で130億ドル、日本円にして1兆円以上ものお金を出したのにもかかわらずであります。
今回の件に限っていえば、まず、わが国は多くの犠牲者・行方不明者を出した当事国であるということを考えなければなりません。米国に押されて消極的に関わるのでなく、日本人犠牲者の遺族の方々に報いるためにも、今後の邦人保護の観点からも、ここは米国と協力して断固たる措置を取るべきです。
もっといえば、こうした事態においては、当然、集団的自衛権を行使すべきであります。
ここでちょっと集団的自衛権について説明しておきましょう。わが国にはれっきとした自衛隊があり、仮にわが国が他国から直接攻撃された場合、必要最小限度の武力をもって、わが国は反撃が可能であります。これは憲法第九条でも認められている個別的自衛権の発動にあたります。
問題は、わが国が直接武力攻撃を受けたわけではないが、わが国の同盟国が武力攻撃を受けたような場合、同盟国とともにこれに共同で対抗し武力を行使するという、いわゆる「集団的自衛権の発動」は認められていないということであります。
わが国の場合、これまでの憲法解釈では、集団的自衛権は国際法上保有しているが、自衛のための必要最小限の武力行使にもあたらないので、憲法解釈上、これを行使することができないという奇妙なことになっているのです。日米安全保障政策上もこれが大変な不安感を米国にも与えています。日米安保は、日本が他国から攻撃された時、米国に一方的に守ってもらうだけという、米国にとっては大変ストレスの高い条約になってしまっているのが実態です。
集団的自衛権というものに対し、私はこうした法律の言葉遊びを改め、国際法上保有している当然の権利として発動できるように内閣法制局の政府解釈を変更すべきであるとかねてより主張して参りました。集団的自衛権すら行使できない国が同盟国として信用されるわけがないのです。真にわが国を防衛するためには、実効性ある同盟が不可欠であり、集団的自衛権が行使できないと同盟そのものがなりたたなくなってしまうのであります。
私が、国会議員67名からなる「小泉政権の聖域なき構造改革を支援する若手議員の会」の代表世話人を努めさせていただいていることは既に皆さんに報告いたしましたが、この会でも、最近開催した第二回勉強会において、「集団的自衛権の発動を含む安全保障政策における聖域なき構造改革を実現すべきである」という決議を行ったばかりであります。今こそ、小泉内閣は、これまで聖域視されてきた安全保障政策分野での構造・意識改革を断行すべきであります。
内閣法制局の憲法解釈が足かせとなって、有効な対策を講ずることができないというのであれば、法制局長官をクビにしてでも、政治の責任において、集団的自衛権の行使を容認すべきであります。総理大臣にしかそれはできません。われわれ「支援する会」としても全力で小泉内閣の取り組みを支援していきたいと考えております。
3.議論すべき有事法制の整備
安全保障政策面での聖域なき構造改革という場合、私は何も集団的自衛権の行使だけを問題にしているわけではありません。まず、有事法制整備の問題があります。今回はテロが米国で発生致しました。しかし、時としてテロは国を選びません。つい最近、米国の世界貿易センタービルで起こったのと同じことが、明日の日本の高層ビルでは起こらないとは限らないのであります。その場合、果たして日本で米国ほど迅速な対応ができるでありましょうか。答えはノーでしょう。とてもとてもお寒い現在の日本の危機管理体制をもってしては全く対応できないといっても過言ではありません。
ですから、われわれは早急に危機感をもって、少なくとも政府は、従来の平和・安心ボケの状態からまともな精神を持つように危機管理に関する意識改革をしなければならないのです。有事法制の整備はその象徴であります。
テロリストがわが国内部に侵入した場合、市民を守るため爆弾を積んだ装甲車が道路を通る時、いちいち許可をとっていたらどうなるでしょう。また、特殊部隊がテロに反撃する際に、敷地内の構造物の権利関係に頭を悩ませながら、刑務所行きも気にしながら有効な反撃ができるでしょうか。こうした有事に備えておくことが今何より重要になってきており、国民もその重要性を徐々に認識できるようになっていると感じます。つい最近、私が東京でセミナーを開催した際、とらせていただいた「テロ関係緊急アンケート」の調査結果をみても、実に参加者の80%以上が早急に有事法制を整備するべきだと回答しています。
有事法制については、昭和52年からずっと議論されてきておりますが、いまだ立法化に至っておりません。これは異常なことです。早急に立法化に向けた検討を開始すべきであります。危機は待ってはくれません。
4.スパイ天国ニッポンを改めよ!
わが国はスパイ天国と呼ばれます。国家の安全に関わる情報等について漏洩した場合でも、当事者は何の法的責任も問われることないというのが実態です。こうした中では米国を始めとする関係国も、なかなか国際テロ等に関して日本と機密情報を共有化しようとは思わないでしょう。
しかし、今回のようなテロを未然に防ぐような場合、各国情報機関との情報共有・共闘体制は何としても確立しなければなりません。各国から信用できる国だと認識されるようにしなければなりません。
必要なことは、スパイ防止法制定と、情報専門機関の充実であります。スパイ防止法については、有事法制と同じく何度も議論されてきましたが、なかなか必要性について正しい理解がされません。
情報専門機関の創設も不可欠です。わが国には、内閣情報調査室がありますが、人数は100名程度、日々新聞や雑誌の切り抜きをやる程度で終ってしまいます。また、防衛庁にある情報本部や警察庁警備局、公安調査庁との連携もうまくいっているわけではありません。ここは米国のCIAのように一元的に情報を収集できる専門的国家情報機関が必要であります。
現代社会は、いわば情報戦であります。いち早く情報を制したものが戦略的に勝利をおさめます。これはどの分野・世界でも共通した常識とも呼べるものであります。日本はこの点、非常に遅れをとっております。最近、ようやく情報収集衛星の打ち上げも実現する運びとなりましが、遅すぎるくらいです。
皆さんは「エシュロン」という世界的な盗聴組織をご存知でしょうか。ヨーロッパでは、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの各国高度情報専門機関によるこの諜報組織ネットワークの活動を非難する決議までしておりますが、日本はその盗聴網に全く無防備であり、政府の認識もお寒いものであります。こういうことで確実に失われていくのは国民の利益なのです。
5.一番重要なことは国際的相互理解の推進である!
さて、いろいろと安全保障政策に関してわが国が取るべき具体的対策についてお話してきました。しかし、これらが日本の危機管理のために必要であるとしても、私は一番重要なことは、国際相互理解の推進であると確信致します。最終的には、集団的自衛権の発動や有事法制、情報機関、特殊部隊の展開等で、大規模国際テロに対峙しなければならないとしても、それはあくまで最終的な手段であり、こうした事態はできるだけ避ける必要があります。私がこれまでの項で、さまざまな危機管理手法を述べてきたのは、日本にはあまりにもそうしたことが欠落しているから、あえて強調しているに過ぎません。
米国におけるテロ直後、アラブ諸国にこのニュースが知らされた時,パレスチナの子供たちが手を叩いて喜ぶ姿が放映されました。パレスチナに代表されるアラブ諸国には、米国に対する複雑な感情というものがあるのです。犯人とされるオサマ・ビンラディンは、もともとソ連のアフガニスタン侵攻に対して、米国のCIAと一緒に反抗したという過去を持っています。その米国が湾岸戦争の時、アラブの聖地を蹂躙したということで彼は米国に強い憎しみをもつようになったといわれています。今、ラディンをかくまっているとされるアフガンのタリバン政府は、イスラム各国に聖戦(ジハード)に参加するよう呼びかけています。イスラムの共同体意識・精神世界に訴えかけようとしているのであります。
もともと中世の十字軍の頃までは、イスラム=アラブ世界は、西欧世界より進んだ文化を持っていました。科学や医学、文学の世界まで、十字軍がアラブから持ち帰ったものが逆に西欧に影響を与えたくらいであります。しかし、産業革命以来、西欧各国が近代化を成し遂げ、アラブを政治・経済的に支配下に置くようになりました。以来独立戦争等を経て、政治的支配関係は変わっても、経済的にはいつまでも欧米に追いつけない。欧米は豊かになっても、自分たちはいつまでも豊かになれない。こうした絶望的な雰囲気がイスラム=アラブ社会にはあるというのです。ですから、米国がテロに遭ったとしても、犯人がイスラム教徒であると、イスラム同胞に対して共鳴する人々も少なくないのです。
こうした中で、イスラエルとパレスチナの問題も、一時の進展がうそのように、足もと、また対立が激化し、特に軍事力等で圧倒的に劣勢なアラブ=パレスチナは、今回の事件をきっかけに、テロ鎮圧を名目としたイスラエル側の攻撃が更に強まるのではないかと不安が増しています。
つまり、われわれは、今回の悲劇とその後のイスラム世界各国の反応をみるだけでも、問題が相当根深いということを理解しなければならないのです。今、欧米とイスラム世界間の価値観の違いというものに改めて思いをはせ、両者が文明的に衝突するのではなく、和解をするように外交的につとめる必要があるのです。強調しておきますが、テロとイスラムを絡めて一緒くたにしてしまうことは大変危険です。大半のイスラム教徒は善良であり、殺人を肯定などしていません。しかし、今回の事件が欧米とイスラム世界における価値観の全面対立をもたらすとすれば、それらは第二、第三のテロを引き起こす可能性があり、事態を一層深刻にさせるでしょう。
日本は、キリスト教文明、イスラム教文明のどちらにも属しておりません。だからこそ、中立公平的な立場でできることが多いと思うのです。今回のテロについては、ほとんどのイスラム教国がテロ非難の姿勢を明らかにしています。こうしたイスラム教国とも協力をして、今後、中東和平にも積極的に関わっていき、相互理解と平和に力強い貢献をしていくべきであると確信致しております。私も議員外交等を通じて、全力を尽くして参りたいと存じます。
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