桜田 よしたか
自由民主党
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広報誌「絆」
56号 アメリカのイラク攻撃について
 平成15年3月20日午前11時40分頃(日本時間)、ついにアメリカやイギリスなどによるイラク攻撃が始まりました。

国連を中心にした国際社会による平和的解決への努力も空しく、遂に武力行使という事態に至ったことは本当に残念であり、軍事行動が一刻も早く終わることを願ってやみません。

初めに断っておきますが、私は戦争には反対です。誰しも平和を願う気持ちには変わりありません。

しかしながら、ただ願ったり祈ったりすれば平和が維持できるというわけではありません。そこには、自ずから諸国民が払わなければならない最低限の努力が必要なのです。

国際社会における諸国民の代表機関といえば、取りも直さずそれは国連です。国連の安全保障理事会は過去17個もの決議を採択してきました。そのうち、「678号決議」は、多国籍軍がイラクに対して武力を行使することを容認するものでした。あの12年前の湾岸戦争の根拠となったものがこれです。その後、「687号決議」により、イラクが核・生物・化学兵器などのいわゆる大量破壊兵器を廃棄するという条件の下に、湾岸戦争は停戦という形を取りました。

しかし、イラクは虚偽の申告をしたり、国連の査察を妨害するなどして、ことごとく安保理決議に背いてきたのです。その間、イラクの石油輸出量は湾岸戦争以前の水準にまで回復し、人道援助の名の下に世界中から送られた物資によって経済的にも豊かになっていました。こうした状況をうけて昨年11月にはイラクに「これを順守しなければ大きな過ちになりますよ」という最後通告として「1441号決議」がなされました。いわば国際社会が鳴らした最後の警鐘です。イラクがこれにも耳を貸しませんでした。「非はイラクにある」と言われても仕方のない状況がよく表れていると思います。

もし、このままイラクを野放しにしておけば、大量破壊兵器がテロ組織に渡り、大規模なテロや犯罪の温床になりかねません。一昨年9月11日にニューヨークとワシントンDCで起きた同時多発テロのように、「国家対国家の戦争」というかつての図式では捉えられない新しい戦争、新しいテロというものが脅威となった今日においては、国家の枠を超えて他国に手を突っ込んでくるテロ組織や、兵器や武器の供給源となるテロ支援国家というものに断乎として毅然たる姿勢で臨むことなしに平和や安全を維持することはできないのです。

そうした危機意識の共有を証すように、今回のイラク攻撃には40ヶ国以上の国が支持を表明しています。メディアでは反対する国ばかりがクローズアップされ、殊更に強調されているようですが、それぞれの国にはやむを得ない「お家事情」があります。

古い映画ファンの方なら、ジャン・ギャバン主演の『望郷』を思い出されると思いますが、フランスはかつてアルジェリアを植民地にしていました。現在、フランスの人口は6000万人余りですが、今でもフランス国内にアラブ系住民は200万人、イスラム教徒は500万人いるといわれています。ドイツもトルコ系の住民や季節労働者を多数抱えています。中東すなわちアラブ社会への進攻は、フランスやドイツ国内にいるアラブ系住民を直接に刺激することになるのです。彼らは、日本のように国際問題を国内問題と切り離して論じるわけにはいかない事情があるのです。

また、イラク攻撃に反対している国の多くは石油利権との関わりがあります。イラクは巧みな外交政策によって、フランスやロシアや中国等に優先的に石油の採掘権を与えることにより、アメリカ・イギリスとの分断を図っていることにも注目しなければなりません。

しかし、実際はEU(ヨーロッパ連合)25ヶ国のうち、14ヶ国が支持しているのを始め、オーストラリアは軍隊が実戦に参加している他、アジアにおいては韓国とフィリピンがいち早くアメリカ支持を表明しています。韓国政府は700名の工兵部隊の派遣も決定しました。

私は韓国が今回のイラク攻撃に対して支持を表明したことに特に注目する必要があると考えます。言うまでもなく、そこには朝鮮半島の問題が根深く横たわっているからです。

アメリカのイラク攻撃を最も注視している国、それは北朝鮮ではないでしょうか。「大量破壊兵器を製造・保持・密売している疑いが極めて濃厚な国」「独裁者による軍事専制政治が行われている国」「一般の民衆が人権弾圧や飢餓に苦しんでいる国」…これらはまさにイラクと北朝鮮に共通するものです。北朝鮮という国は拉致問題を引き合いに出すまでもなく、日本にとって、いや世界にとって眉唾で危険な存在であることは衆目の一致するところです。そうした危険な国と陸続きにある韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が今回のイラク攻撃で「米国を支持する事が国益にかなうと判断した」と表明したことの意味を我々は考えなければなりません。

日本の主権と国土を守り、国民の生命・財産を守るという究極の国益を確保するためには、我々政治家は常に国家の安全保障というものを念頭に置き、大局に立って何が国益かを冷徹に判断し、行動しなければなりません。今回のイラク攻撃に際して、小泉首相がアメリカ支持を表明したことに「アメリカ追従だ」という反対する人もいますが、日本はアメリカとの同盟関係を基軸にして、安全保障を担保する。それが国益にかなうことであり、責任ある政治家が選びうる唯一の選択肢であると考えます。机上の空論で国民の安全は守れはしません。

戦争の火蓋は切られました。アメリカ軍が投入した最新の精密誘導爆弾が狭小な目標に的確に命中する様子に我々は驚きを禁じ得ません。そこには一般市民の犠牲を最小限に食い止めようという強い配慮が見てとれます。バンカーバスターと呼ばれる、地下施設を攻略する爆弾によってサダム・フセインやその側近たちが亡くなったとも報じられました。
部分的とはいえ、廃墟になったバクダッドの街並みを見て、戦争の悲惨を嘆くことは容易です。しかし、我々に課せられたことは廃墟の跡に、真の平和と安全を築くことなのです。どうか皆様の賢明なご判断を仰ぎたいと思います。ご意見がございましたらどうぞお寄せ下さい。お待ちしております。

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