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1、新型肺炎(SARS)の猛威について
みなさんこんにちは、桜田義孝です。重症急性呼吸器症候群、いわゆるSARSがアジアを中心に猛威を振るっています。すでに患者は全世界で7000人、死者は500人を超えました。この新型肺炎が社会的・経済的に及ぼしている影響は深刻です。わが国におけるSARSの蔓延は絶対に避けなければなりません。
既に各地の空港や港で入国者の健康チェックが行われていますが、SARSには感染から発症までの潜伏期間があることから、入国後の発症にも備えなければなりません。
厚生労働省はSARSウィルスを飛散させない「陰圧室」などの特別な病室を全国87医療機関(521病室)に確保しており、全都道府県でも患者が発生した場合の具体的な「行動計画(アクションプログラム)」が既に策定されています。
研究者によれば、SARSウィルスが空中を浮遊することによって感染する「空気感染」の可能性については否定的な見方が多く、多くの人が手を触れる公衆の場所から広まる「接触感染」や、くしゃみ等による「飛沫感染」から感染するという見方が有力であります。手洗い・うがい等を励行し、冷静に対応することで、SARSに対する無用な混乱を避けることができると思います。
2、身近な視点で考えたい危機管理
ところで、イラク戦争に続くこのSARS騒動で、今年のゴールデンウィークに於ける海外旅行客は激減しました。大手旅行代理店のパッケージツアーの参加者は、前年比50〜60%減であったそうです。皆さんの中にもせっかく楽しみにされていた旅行を断念せざるを得なくなり、悔しい思いをされた方がいらっしゃるかもしれません。
ところで、海外旅行に限らず、国内旅行でも私たちがしばしば利用する交通機関に飛行機があります。皆さんが飛行機に乗られたときの光景をちょっと思い出して下さい。席に座ると、離陸前に、非常時の際の対応についてスクリーンでビデオが上映されたり、避難・誘導についての詳細な説明がなされたり、客室乗務員が酸素マスクの着用を実際に見せてくれたりするものです。こうした非常時の際のマニュアルが備わっていない飛行機はありません。
では、仮にこの飛行機に乗客のAさんとBさんが乗っていると考えてみてください。
Aさんは非常時の説明を聞いて、「事故は起きて欲しくないけれども、これだけしっかりとしたマニュアルができていれば、万が一の時も整然と対応してくれるだろう」と考え、安心して空の旅を楽しむことにしました。
一方、Bさんは説明を聞いたとたんに「非常時の話をしたり、酸素マスクの着け方を教えたりして、いったいどういうつもりなんだろうか。この飛行機は墜落の準備でも始めるのではないか」と疑心暗鬼になり、まったく落ち着かずにそわそわし始めました。
さて、皆さんはAさんとBさん、どちらの態度により理解を示されるでしょうか。多くの皆さんは「まぁ、Aさんの態度が妥当なのではないだろうか」「Bさんはあまりに偏っているのではないか」と思われるのではないでしょうか。
ところが、私が今お話しした例え話を、有事法制に置き換えて考えてみて頂くと、わが国の野党やメディアの一部に、まるでBさんのような取り越し苦労をしている人たちが大勢いることに気づかれるのではないでしょうか。「有事法制は戦争の準備だ」などと言っている人たちのことです。それがいかに的外れな指摘であるかは皆さんにはお分かり頂けると思います。
3、有事法制とは何か
去る5月15日、私も出席した衆院本会議でいわゆる有事関連3法案が可決され、参院に送られました。今国会での成立が確実視されています。有事関連3法案とは、(1)武力攻撃事態対処法案、(2)自衛隊法改正案、(3)安全保障会議設置法改正案の総称です。わが国が武力攻撃を受けたとき、国は全力を挙げて国家国民の生命や財産を全力を挙げて守らなければなりません。それだけの実力を有した組織は自衛隊以外にありません。自衛隊の出動に関する規定というのは、現行の自衛隊法にも根拠がありますが、実際の行動には多くの法的制約があります。わが国は法治国家ですから、法律に根拠が無いことはできないし、してはなりません。
ところが、平和や安全保障に対する誤った認識がわが国では野党やメディアの一部に根強く残っていたせいで、有事法制は議論することすら許されませんでした。ですから、万が一の有事の際に自衛隊に超法規的な行動をとってもらうしかない、などという信じがたい無責任な状態が長らく放置されていたのです。これでは法治国家ならぬ「放置国家」だと批判されるのも仕方ありません。有事の際の指揮系統や役割分担というものも明確ではありませんでした。
先ほどお話しした飛行機の例でも、非常時に客室乗務員一人一人の言うことが場当たりだったり、機長や操縦士の指揮命令系統がバラバラだったりしたら、乗客の安全が確保できないことは火を見るよりも明らかです。
それは国家の有事に於いても同じです。国はいかにして国家国民を守るのか、役割分担を明らかにしておかなければなりません。逆に言えば、国民は国がどうやって自分たちを守ってくれるのかを事前に知っておかなければなりません。このことは、国家の危機管理の観点はもとより、国民の権利の保障という観点からも大変重要であると思います。
4、責任ある政治とは
ところで、法案審議の過程で野党の民主党は有事法制全体の施行を、国民保護法制が制定されるまで全面的に凍結する案を求めてきました。こうした民主党の要求には、その間に武力攻撃事態が発生した場合にはどう対処するべきなのか、という観点が見事に欠落しています。「今まで通り、自衛隊は超法規的に活動して下さいよ」とでもいうつもりでしょうか。こういう政党に果たして政権担当能力があるのか、真剣に疑わざるを得ません。
とはいえ、国家の根幹たる安全保障に関わる重要法案は、できるだけ多くの賛成を得て成立させるのがふさわしいといえます。野党の要求は周到な与党案に屋上屋を架すようなものでしたが、彼らの要求も一部反映させた形で有事関連3法案は衆院を通過しました。私の目から見ればギリギリ合格点の60点といった内容ではありますが、わが国の安全保障政策に大きな一歩となったことは間違いありません。これを機に、安全保障にかかわる議論が広く国民の間で活発に行われることを期待したいと思います。
私は小泉内閣の一翼を担う者として、今後とも国家国民を守るための制度作りに全力を尽くして参る所存です。皆さんもご意見・ご批判等ございましたらどんどんお寄せください。お待ちしております。
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