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| 元気だそう日本! 桜田義孝の日本国改造私案 |
| 第一部 二十一世紀目指すべきこの国の「かたち」と「こころ」 |
| 第十一章 夢ある未来のためのわが国の科学技術政策はこうあるべき |
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1 科学技術の力は神の力にも悪魔の力にもなり得るもの・・・
21世紀のはじめまでに「鉄腕アトム」の出現は間に合いませんでした。結局、ちょっと前の人類の21世紀へのあこがれほど今の世の中は進歩しておりません。家族での宇宙旅行だって、スペースコロニーだってまだ夢の世界ですし、人間が天気を自由に変えることができたり、そんな世界はまだ映画やマンガの中だけであります。
人間の想像力とは本当にすばらしいものであり、最近ではコンピューターグラフィックをふんだんに使った、驚くような映像の数々が目白押しであります。その中で人間は科学力でジュラ紀の恐竜たちを生き返らせたり、一発のミサイルで銀河系を吹き飛ばしたりします。自分が自分のクローンに襲われるなんて奇想天外な話もあります。
たかが映画じゃないかと皆さんはいうでしょう。政策論で何で映画の話をしなければならないのだと。しかし、これらの科学技術がテーマになっている映画はわれわれの今後にとってとても重要なことを示してくれています。つまり、科学はすばらしい未来を生むとともに、人類を滅亡させるような凄さをも持っているのです。
よく映画の中にはマッドサイエンティスト(狂った科学者)が出てきます。大抵はすばらしい科学的才能をもっているのですが、性格が歪んでいて、自分の滅茶苦茶な理論で人類を滅ぼそうとします。いってみれば科学とはこういう危険性と絶えず隣合せにあるということを、まず、われわれは自覚しなければならないと思います。
科学は強力な力であっても、人類救済の神の力にも人類を全滅させる悪魔の力にもなるのです。ですから、科学技術は倫理観をこそ基礎とすべきであるというのがわたくしの結論でありますが、理系の分野は、何が正しいのかといった社会とか人間についての価値の問題を考える体系になっておりません。この点、工夫が必要であります。
ひとつの例として、わたくしの地元に最近移転してきている東京大学の柏キャンパスには、今までの文系、理系の枠に捕らわれない高度の高機能の大学院が創設されることになっております。クローン技術の問題も、環境の問題も学問が領域ごとに縦割りになっていることの限界が露呈してきているという問題意識によるもので、科学技術の総合的な発展を目指そうというものであります。
これはとても大切な考え方であります。東京大学では、これは核融合になぞらえて、「学融合」と呼んでおりますが、わたくしは学問すべて「学融合」の考え方を活かしたかたちにもっていくことが重要であると思いますし、そうした取り組みを国としても応援していくべきだと思っています。
2 21世紀の科学技術政策に求められるものとは?
さて、わたくしは、21世紀の科学技術政策を考えていくキーワードは、一言でいって「人間」と「資源」、そして「環境」だと思っています。「人間」の関係ではヒトゲノムや脳の問題。「資源」という意味では新エネルギーの問題。そして、「環境」という意味では廃棄物処理技術や温暖化防止技術が重要な政策テーマであります。
21世紀におけるこれらの重要な政策への取り組みにあたり、特に注視すべき科学技術分野として、わたくしは以下の二つを取り上げたいと考えております。それは、「ライフサイエンス」と「ナノテクノロジー」であります。
@ライフサイエンス(生命科学)で米国に追いつけ!
まず、ライフサイエンスの推進であります。「人間」の問題の解決のカギはライフサイエンス(生命科学)ということになるでしょう。現在、ガンや心臓疾患、糖尿病など生活習慣病が依然、人間の大きな脅威として存在しております。また、生活環境の変化に伴い免疫機能の異常による疾患(スギ花粉症、アトピー等)が増加することが懸念されています。
ライフサイエンスの充実によって、こうした疾病に対して、個々人の体の特性に合わせた治療が可能になります。これを服の特注と同じ意味で「オーダーメイド医療」というように呼んでいます。
つまり、現在世界中で取り組まれているゲノム解析により、個々人の遺伝子レベルまでの体の特徴がわかりますから、どんな病気になりやすいか、予防のため何に気をつければ良いか、仮に病気になった時、どんな薬が効き、どんな治療を施せばよいかなど、すべてについて、細かで効果的な対策を講ずることができるようになり、医療レベルが飛躍的に向上することでしょう。
また、例えばクローン技術などについても、先行き研究が進んでいけば、患者の遺伝子から肝臓とか心臓とか合併症を起こさないクローン臓器を創生し、移植するという画期的な治療法の開拓も可能になります。ただし、さきほど述べた倫理の問題についてもクリアすることが肝心であり、クローン人間の誕生といった事態が生じないよう適切に規制していく必要があります。
そして、このような諸技術により、人間の寿命も伸びる可能性があります。老化を防ぐ技術等も研究されております。仮に年をとっても健康で若々しくしていられれば、人生観も大きく変わるかもしれません。社会全体の高齢化が進行する中で医療費削減という点からも興味ある話だといえます。
このようなゲノムに代表されるライフサイエンスの領域において、わが国は現在、特にヒトゲノムの解読において米国に大きく遅れをとっています。今後、まだ比較的進んでいないタンパク質や脳の研究等において、最先端の米国に負けないよう積極的に国も予算付けを行うべきであると思います。
A21世紀 新たな科学技術革命を生み出すナノテクノロジー!
次に「資源」、「環境」の問題解決および21世紀における新たな科学技術革命を生み出す原動力がナノテクノロジーに期待できます。ナノテクノロジーとは、物質を原子・分子レベルで観察・操作して従来の技術を超え、前人未踏のフロンティアを開拓する科学技術のことであります。因みにナノメートルとは長さの単位であり、1ナノメートルは10億分の一メートル=100万分の1ミリであります。
さて、これだけでは何のことかさっぱりわからないでしょう。では説明しましょう。ナノテクノロジーをうまく活用すると、極度に小さな物質や機械でいろいろなことができたりしますので、電気機械等を極限まで小さくしたり、機械の性能を極度まで引き出したりすることができるようになります。
例えば現在の百万倍の性能のコンピューターをつくることが可能になります。これは二年かかる計算を一分に短縮したり、あの国立国会図書館の情報すべてが角砂糖一個の大きさに入ってしまったりするなど、時間や資源等の飛躍的省力化につながるはずであります。
また、極度に小さい物質から製品をつくることで、使用する材料や廃棄物を極小化したり、太陽電池の効率を従来の2倍以上にするなど、資源の有効活用、エネルギー問題の解決などにも大きく貢献するでしょう。更には、血管よりも小さな医療機械を直接体内の患部に送達し、診断・治療する医療技術の実現への期待も高まっております。
みなさん、コンピューターの歴史を思い返して下さい。今世紀中頃米国のペンシルバニア大学で作られた世界最初のコンピューターは、重さが30トンで真空管を約1万8000本も使う巨大なものでありました。以後、トランジスタやLSIの発明によりコンピューターの性能が向上するとともに小型化が進み、今やモバイルコンピューターの時代になりました。そして、ナノテクノロジーは、更に飛躍的な革新を生み出し、カードくらいの大きさで今の数百倍の驚異の性能のパソコンを開発することを可能とするでありましょう。
さきほどのライフサイエンスの領域と異なり、わが国は欧州とともにこの分野の最先端に位置しています。ところが例によって米国が次なる産業革命のカギを握る技術として、ナノテクノロジーにかなり力を入れており、2001年度予算案では、何と83%もアップしたという報告も受けています。
ナノテクノロジーは今後巨大な市場を生む驚異の技術ですから、わが国としてもナノテクノロジーの推進に関して、国家戦略ともいうべき骨太の方針を構築し、米国に負けない予算を確保し、人材を育成していくことが肝心です。わたくしは推進役として全力投球する構えであります。
3 失敗は発明の母である ――わが国の宇宙開発に期待すること
この章の最後で、わたくしが大変力を入れている宇宙科学の問題を取り上げてみたいと思います。わたくしは現在、DFD研究会の会長というのをやっています。若手議員15名からなるこの会は、正式名称をダイナミック・フューチャー・ドリーム研究会と言い、政治家が宇宙開発を積極的に推進していこうというの趣旨で、3年ほど前に結成されました。
この会では毛利さんや向井さんといった宇宙飛行士の皆さん、そして「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」でお馴染みの松本零士さんを顧問としてお招きして、ともに宇宙の夢について語り合っており、わたくしが最も楽しみにしている勉強会のひとつであります。また、文部科学省の局長に直に政策提言等も行っています。
宇宙というのは誠に無限であり、人間の存在を根本から考えさせるような人間の未知の領域でもあります。この分野についてわが国が関係国と協力しながら研究開発を進めていくことは、大変意義深いことであると思います。現在、国際宇宙ステーションの開発が進んでおりますが、まだまだ宇宙をどう使うかについてのイメージは湧いてきません。この点、わたくしは、21世紀の科学技術政策のキーワードとして挙げた資源の問題についても、宇宙に大きく期待できると思っております。
例えば、将来火星に住んだり、月で夏休みを過ごしたりと、宇宙開発について具体的なイメージをもっていくということも必要だと思います。また、各天体の資源開発が可能になれば、枯渇する地球資源問題の究極的な打開策になる可能性があります。もちろんこうした話は実現できるとしてもかなり先のことでしょう。しかし、わたくしは宇宙開発の目的は生命創生の起源の謎を追求することと、宇宙資源の開拓にあると考えています。具体的な目的があればこそ予算づけも可能になるでしょう。
こうした中、当局がH2ロケットの開発で度重なる失敗を繰り返していることは皆さんご承知のとおりであります。単純なミスにより、既に343億円が水の泡となりました。国民の中には憤りの声が聞かれています。
そして、ここでわたくしは敢えて言いたいのであります。「失敗は発明の母である」と。米国においてもロケット開発というのは何度も失敗を繰り返してきたのであります。例えば最近でも、米国の最新型ロケットである「デルタ3」が二機連続して打ち上げに失敗し、改良措置を重ねて、2000年8月の3号機打ち上げでようやく成功したという具合であります。つまり、こうした開発行為と失敗を何度もくぐり抜けて初めて宇宙開発というのは成功するものなのであり、そうしたプロセスについては国民の理解が必要なのであります。まさに「失敗は発明の母」であります。
だからこそ、宇宙開発に関するビジョンが必要なのであります。この点、現在の政府はそこまで明確にしておりません。宇宙が未知の領域である以上、目先の研究に没頭せざるを得ず、やむを得ない部分は多分にありますが、国民の税金を使って行う以上、単に他国と宇宙ロケットの競争をするというだけでは、説得力に欠けるのではないでしょうか?
やはり、宇宙開発についての具体的なビジョン、イメージが欲しいところであります。これがあれば国民も宇宙開発に税金がつぎ込まれることに理解を示すでありましょう。科学技術は最終的にわれわれのナマの生活に活きてこそ意味があるのですから・・・・・
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