桜田 よしたか
自由民主党
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元気だそう日本! 桜田義孝の日本国改造私案
第一部 二十一世紀目指すべきこの国の「かたち」と「こころ」
第七章 大問題「少子高齢化」を乗り切るための経済活性化策!
1 いま変革が求められているわが国の経済産業政策の思考法

少子高齢化の中で、お金の稼ぎ手が次々に減っていき、物を買う側もドンドン減っていく。したがって、当然GDP(国内総生産)は減少していく。今のまま少子高齢化が進めばこうしたことが現実のものとなります。

増えるのは高齢者ばかりですが、例えば、子供が成長とともに相次いで服や靴を買い換えるのと違って、高齢者は何年でも同じ服を着られるので、服は買わなくても済んでしまいます。これではお金のまわりは良くなるはずがありません。肝心なことは高齢者の方々にお金を使ってもらうことであります。

さて、今こんな現状になってしまって、経済政策も経済の右肩あがりを前提としていたこれまでのように、単に企業を税制面で優遇したり、援助したりと、そういうことでは済まされない世の中になってきました。

逆にそういうことをやっていると人間と一緒で経済・企業の足腰が弱くなってしまう可能性があるのです。これは今までの経済政策観とはかなり異なるものであり、この点十分な検討が必要であります。

2 高度成長期における産業支援策と貿易摩擦緩和策

戦後、通産省が経済産業政策でどういうことをやってきたかというと、まず、産業を育成して国民の生活を豊かにしようと思っても、外貨がない。輸入ができない。ということで、終戦直後から1950年代までは石炭や電力などの傾斜生産や有力重要産業への「外貨割り当て」が産業政策の柱でした。

やがて、所得倍増の池田勇人首相の頃の1960年代になると、外貨もようやく蓄積され、わが国経済の足腰もかなり強くなったので、今度は日本開発銀行などの政府系金融機関と民間金融機関が一緒になって成長分野に一生懸命融資をつけていきました。通産省は企業を応援するために、国の近代化に必要な有望・重要産業を税制面で優遇したり、補助金をつけたりして、産業の国際競争力をつけることに力を注ぎました。この結果、1970年代後半までには、わが国は輸出をテコに世界史上未曾有の高度成長を成し遂げ、経済力で米国に迫るという奇跡を成し遂げたのでありました。

しかし、特に1980年代、今度は日本が世界中から稼ぎすぎて、特に最大輸出国である米国の自動車業界や半導体業界等に大きなダメージを与えるに至り、今度は貿易摩擦の解消が政策の重要なテーマになってきました。要は、米国という最大の顧客をあまり怒らせ過ぎてはいけないということで、輸出について「日本からの輸出はこれだけにしましょう」という輸出自主規制策が採用されました。大雑把にいって、ここまでが戦後の産業政策のひとつの流れであります。

日本経済が右肩上がりで繁栄しているうちは特に大きな問題も発生しませんでした。こういう時は誰も文句をいわないものです。いろいろあっても、拡大するパイをどう分けるかということが問題である限り、すべてがうまくいくように思われたのであります。そうバブル経済が崩壊するまでは・・・・・・・・

1990年代はじめバブル経済が崩壊しました。土地価格や株式の暴落とともに、経済の右肩上がりが実現されない中で、いままで蓄積されてきたさまざまな経済的な矛盾・制度問題が一斉に噴出しました。政府による経済規制がとても多く、金融機関を始めとして護送船団方式の経済運営で企業の競争力が著しく落ちていた。東西冷戦の終了とともに、世界中の各国が競う大競争の原理の中で、こうした現状を突きつけられ、みんな青くなってしまったのであります。

3 いま、経済政策はどう変わるべきか?

バブルが崩壊し、また、冒頭に申し上げたような少子高齢化が進展をする中、いまわが国の経済政策は明らかに変革を求められております。

これだけ大きくなった企業をこれまで通り税制や補助金等の手段で表立って支援するより、逆に国は何も干渉しないで競争させたり、市場原理にまかせる方がうまくいく、生産性も高くなり、所得も増える状況となっています。つまり、政府は昔の通産省のように過保護であってはならないのであります。個人や企業が最大限創意工夫ができ、能力が発揮できるような場(市場)を整備していくことが今一番必要な経済政策でしょう。

貿易摩擦の問題は依然重要でありますが、日本経済が停滞している現在、わが国は米国等から逆に哀れみをもってみられており、貿易摩擦がそれほど大きな問題とはみなされなくなりました。

はっきり申し上げると、わが国の経済政策にいま求められていることは、わが国経済の立て直し、経済再活性化ということに尽きます。これは今までの手法では決して成し遂げられません。経済資源をどのように割り当てるかということではなく、経済資源を創造するための環境づくりが求められているのです。それが今世上よく言われている構造改革ということの内容です。構造改革を進め、わが国の産業を世界的な国際競争の中でも立ちいくように足腰の強いものにつくり変えていく必要があります。税制や公的規制を抜本的に見直し、高コスト構造を是正するなどの政策が必要です。それらにより、例えば、外国企業であっても日本で新規開業をしたい、そう思わせるようなビジネス環境をつくることが重要です。

4 リスクマネーがつく制度づくりに早急に取り組むべき!

わが国においては、みんな銀行にお金をあずけますよね。わたくしも金融資産といったら定期預金を思いつきます。結局わたくしたちから銀行にいったお金は元本保証されなければならない(=損をさせてはならない)わけですから、しっかりとした大企業、あるいは中小でも不動産等の担保力のあるような企業にしか回りません。

そうした厳しい中でも松下グループやソニーは現れたわけですが、やはりやる気のあるベンチャー企業が資金を集めるのは、なかなか難しいというのが現実なのであります。

米国企業に対抗できるような新産業を創出し、先行きわが国の経済活力を増大させていくためには、何としてもこのようなベンチャー企業を応援する投資家をたくさん育成していく必要があるのです。投資家と言っても、どこかの大金持ちのことを意味しているわけではありません。今まで銀行にお金を預けていたような皆さん方のことであります。銀行が企業を選ぶ時代は終わりました。皆さんが選ぶ時代であります。

皆さんはこう言うでしょう。「損するのもいやだから、投資といってもなかなか怖くてねぇ」。確かに投資にはリスクはつきものであります。しかし、誰もシミかシラミのような今の銀行預金金利で満足しているわけではないでしょう。こんな金利の状況は史上最悪であります。銀行も企業もそれだけだらしがないということであり、預金者が怒るのは当然であります。しかし、そうした情けない銀行と企業を作ったのは、われわれ自身なのであります。

要は一般の人々が投資をしやすい、企業からすれば思い切った冒険的な事業でも比較的お金のつきやすい、そういう仕組みを作って、わが国のリスクマネーを増大させていくことが重要であります。米国では既にこうした仕組みが進んでいるおり、IT産業の勃興を助けました。

具体的にわたくしが提案したいのは、株式等に投資をして損をしたような場合の損金について、他の所得と総合して完全な損益通算をしても良いのではないかということであります。現在では、株式なら同じ株式取引における損得の中で限定的にしか損益通算ができません。これではベンチャー精神を応援する制度とはいえません。

また、特にわたくしは今後は「投資信託」を重要視すべきであると思います。一般の人間が個別の銘柄で儲けるのはなかなか難しいのが現実です。投資信託というかたちであれば人々にとってなじみやすいし、必ず先行きわが国の直接金融の起爆剤になると思います。実際米国でも投資信託が国民の投資の主流となっているのです。

加えて言えば、人々の投資志向を積極的に支援すると言う意味でも、例えば投資信託に投資をして儲かると20%源泉徴収されるのに、損をしたら税制上関係なしというのではちょっと不公平であると思います。損をした場合の対応は、それなりに考慮する必要があります。やはり人々の投資インセンティブ(意欲)がわくような、全般の制度改革を行っていく必要があるのです。

5 「サラリーマン消費」浮揚は住宅ローン返済対策で!

わが国の景気低迷の元凶は、よく個人消費の不振にあるといわれております。そして、わたくしはこの個人消費低迷の背景には、住宅ローンの重石というものがあると確信致しております。住宅ローンの問題を解決することが個人消費アップの早道です。

現在の住宅ローン対策税制は、住宅投資の呼び水効果を狙って新規の住宅購入について税制上優遇されるかたちとなっていますが、わたくしは多くのサラリーマンが苦しめられている既存の住宅ローン返済についても税制上何とかならないものかと考えております。

例えば、先般の改正により、親から子への贈与税の場合、住宅購入資金に当てられれば、550万円までは贈与税がかからなくなりましたが、わたくしは、これを新規購入だけでなく、既存の住宅ローン返済に当てる場合も同様に優遇したらどうだろうかと考えるのです。住宅ローン返済が軽くなれば、今まで月何万円も返済に充てていた分、かなりの部分が消費に回るはずです。家族で温泉旅行にいけるかもしれません。

わたくしは、こうした対策が実現できれば個人消費に必ず好影響を与えると思います。それほどサラリーマン世帯にとって住宅ローン問題は大きいのであります。個人消費浮揚は既存住宅ローン返済対策で十分実現できると信じます。

6 消費回復のカギは高齢者にお金を使ってもらうことにあり!

―― リバースモーゲージ制度を早期導入すべき!

 そして、個人消費の上昇のために、いまひとつの提案として申し上げたいのが、「リバースモーゲージ」というシステムであります。先ほど冒頭の部分で、わたくしは、高齢者にお金を使ってもらうことが重要であると言いました。この制度はうまくいけば、人々が老後にお金の心配がないようにできる制度であります。

 いま、国民の金融資産残高は約1400兆円あるといわれております。そして、このお金の50%は60歳以上の方々がもっているというのが実態です。また、所得の中で貯蓄に回す率である貯蓄性向は、年配になるほど上がっていくという、わが国に特異な現象があります。米国等ですと、人は、若いうちに貯めたお金を次々に使うため、年配の人の貯蓄性向は大抵マイナスになりますが、わが国の年配の人の場合は、何とこれが20%もあるのです。誠に驚異的なことです。

つまり、わが国の場合、人々は老後の安心感の確保から、とにかくお金をため込んでいる。ですから、世の中にお金が回りにくい、景気はますます冷え込むというわけであります。経済政策といっても、何も難しいことを考える必要はありません。バブルの時を思い出してください。景気が良くなるというのは、みんなが率先してお金を使う状況のことを意味しているのです。

 それでは現在お金をためている高齢者の方々が、どうしたらお金を使うようになるのでしょうか?

 50歳、60歳になっても日本人はなぜ貯蓄に励むのか。特に住宅を買った人などは住宅という固定資産を得て、なおひたすら貯蓄に励みます。これは、老後の生活費をためているわけであります。ですから、60歳になっても一向に貯蓄をやめない。下手をすると年金をすべて貯蓄に回すなんて例もたくさんあるでしょう。子供と別居する親が増えている、子供が当てにならないという最近の傾向も大きく影響しています。

 そうであれば簡単であります。持っている家と土地を担保に生活費を月々15万円とか20万円とか借り続けられれば良いのであります。これと年金で十分生活できるはずです。あるいは年金に代替的な存在になるかもしれません。返済については、自分が死んだ時、家と土地を売却して清算すれば良いわけで、人々は貯蓄に頭を悩ませることなく有効に資産を活用して、思う存分消費ができるようになるはずであります。

皆さんはおそらく、自分がかなり長生きした場合は、お金がなくなってしまい、家を追い出されるのではないかと心配なさることでしょう。こうした場合の対策として、米国では長生きして融資額総計が担保価値を越え、高齢者がお金を入手できなくなってしまうような場合の保証・保険制度を確立しています。ですから、金融機関としても心配なく融資でき、高齢者も資産を有効活用して生活できるのであります。この制度をリバースモーゲージといって、米国では既にかなり浸透しているシステムであります。

高齢者にお金を使っていただくために、そして高齢化社会の中で、わが国の個人消費を活気付かせるためには、このリバースモーゲージというシステムの導入が是非必要であります。わたくしは、政府による保証制度の構築も含めて、リバースモーゲージの導入のための検討をしていきたいと思います。

7 消費活性化と自立心構築のためにわが国の退職金制度を大幅に見直すべきである!

 ここで、わたくしが日頃から、経済活性化と、個人の自立心構築のために必要であると考えている退職金制度の見直しについてご説明しておきたいと思います。結論から申し上げますと、わたくしは退職金を選択によって、前払いできるようなシステムを社会的に浸透させるべきであると思うのです。

例えば、ここに3000万円の退職金をもらえる人がいるとすれば、最終的な退職金は1000万円として、2000万円分については40年間で前払いし、月給に積み増すかたちとしたら良いと思います。そして、まず、第一に国家公務員において、これを実現して社会に浸透させていくことが必要であると思います。それでは、順にご説明していきましょう。

まず、退職して大きなお金が入るというのは、それはそれで老後の生計に関わるバックボーンであることは確かですが、よくよく考えれば、若い現役の時はずっと我慢して高齢者になってようやく数千万円という大きなお金を得るというのも変な感じはします。実際、これまで見てきたように高齢者ほど、貯蓄率および貯蓄金額が高いという現状を考えたとき、何らかの改善策は必要です。社会生活における、ちょっとした疑問・違和感を徹底的に追及していくことこそ、わたくしの基本的な政治姿勢でありますが、どう考えてもわが国の退職金制度は変だと思います。

本来、お金が一番必要であるのは、子供が成人するまで、大体30歳代からの20年間であるはずです。わたくしが思うに、退職金というよりも、むしろこの期間の支出支援を充実させることの方が社会厚生的に有効であり、わたくしの主張するような退職金前払い制度を浸透させていけば、個人消費の活性化にもつながっていくと思います。若いときの支出こそ価値あるものはありません。人生観の問題にもなりますが、やはり現役世代の有効な生産・消費活動にこそ、お金は使われてしかるべきであり、過剰なまでの退職金制度は貯蓄率を必要以上に増大させ、社会的な活力を奪ってしまうと思います。

 ここで、合理的期待形成学派という経済学の一派に属するバローという学者の考え方によれば、退職金を前払いにしても、将来に備えて貯金に回してしまうだろうからお金は社会に回らず、消費刺激策としては意味がない、ということになってしまいます。

しかし、この、人間が先行きを完全に見通せる合理的主体とした合理的期待形成学派には大きな誤りがあると思っています。つまり、人間はそこまで合理的な存在ではありません。むしろ机上の空論であって、現実的な認識ではないと思います。

何を言いたいかと申しますと、退職金を分割前払いさえすれば、それは、家族の旅行資金に回ったり、車の購入費に当てられたりといったように、必ずや現役世代としての消費を増大させ、同額を高齢者の時に支払うより消費増大の効果はあると思います。人間が完全に合理的な存在ではない以上、追加分のすべてが貯蓄に回ってしまうという可能性は大変低いと思います。現役世代の可処分所得を増やすことこそ、少子高齢化社会における消費活性化のカギであります。若い人々に活発に消費させることこそ、われわれが第一に考えなければならないことなのであります。

ですから、わたくしは、繰り返し述べているとおり、退職金については、少なくとも前払いでもらいたい人については、分割で支払われるような柔軟なシステムとしていくことが、21世紀の経済社会に必要なことであると断言します。

そして、この退職金前払いの社会的制度化を実現するための第一の具体的方法として、わたくしが提唱させていただきたいのが、国家公務員の退職金制度の抜本的改革であります。民間企業の慣行を変革するためには、まず、国家公務員制度から変えていくことです。

国家公務員はやはり退職時に2〜3000万円という退職金を手にしますが、これを選択制にして、この項の冒頭で述べたような退職金の前払い制度を、民間に先駆けて導入していくべきであります。それによって、終身雇用の様に退職金を当てにする必要がなくなり、優秀な人材も気兼ねなく民間へ転出できますし、雇用の流動化も自ら実践するようなもので、かなり社会の退職金意識というものが変わってくるとも思います。

この後の社会保障のところで述べる「生涯現役」推進と、退職金の前払い制度の浸透がうまくいけば、少子高齢化の中でも、必ずや活力ある経済社会を実現できると、わたくしは確信致します。

8 活気あふれる経済社会づくりは雇用流動化の積極支援から!

 さて、競争と活気があふれる社会づくりのためには、大企業病と終身雇用制は何とかしなければなりません。ひとつところにずっといるというのは良い面もありますが、創意工夫がみられない護送船団的企業群をみるとき、やはり問題の方が多いように思われます。

同じ企業にずっといたい人間はいても良い、しかし、転職したい人間は大いに転職できるように、それが自然のようにしていくことが肝心だと思います。わたくしから言わせれば、二十歳代のはじめで一生が決まってしまうような、これまでの労働市場の常識は異常であり、非常識だとすら思います。この点、わが国の労働政策は、依然大きな問題を抱えているといわざるを得ません。要は新しい企業が次から次へ興り、その企業へ労働者が各人の能力と適正に応じてスムーズに転職することができる、そういう労働市場へ変えていくことが必要です。

 わたくしが一番指摘したいのは、今の再就職支援政策であります。今の制度はどちらかといえば、ブルーカラーの方々を主として対象とした内容に偏っており、一般のサラリーマンの再就職を支援するような内容になっておりません。これは、サラリーマンにとって再就職という状況は異常であるという誤った偏見に基づくものであり、早急な改善が望まれるところであります。例えば、民間企業の活動を生かした再訓練システムがあっても良いと思うのです。

イギリスでは、それぞれの民間の再就職支援センターが、何割の人々を無事再就職させたかで、各センターへの補助金の額を変えております。つまり、当事者がお役所的に仕事をするのではなく、やる気をもって再就職の支援ができるよう、具体的なインセンティブを与えていることになるのであります。こうした制度をわが国でも思い切って導入したら良いと思います。

9 大学の知恵で儲けろ!

 経済政策の項の最後で言いたいことは、日本は大学の知恵というものをもっと生かすべきであるということであります。今申し述べてきたような投資や個人消費の増加策も、労働市場の流動化策についても、新産業の創造のもつ経済的ダイナミズムにはかないません。

新しい商品開発がもたらす「経済バネ効果」というのは、それだけ大きいものであります。経済というのは、経済学者シュムペーターが言うように、新発明で爆発的に大きくジャンプするものであります。自動車をみてもインターネットをみても携帯電話をみても、これはすぐわかります。これらが果たして何十兆、何百兆の経済効果を生んだことでしょうか?これからの経済の牽引力として期待できそうなのは、専ら技術革新くらいであり、そのための研究開発はどれだけの資源を投入してもしすぎることはありません。

 同時にわれわれはもっと、科学技術の最先端にある大学の潜在力というものをうまく使う必要があります。わが国はこの点、米国に比べて格段に見劣りしております。何かを一番初めに発明し、うまく商品化できれば、その国はデファクトスタンダード(事実上の国際標準)を生み出したことになり、莫大に儲けられるのであります。早いもの勝ちであります。

 残念ながら、今のわが国における大学研究は、システム的にアメリカにおけるそうした思考とかけ離れております。

まず、研究資金の配分に問題があります。現在、産業育成・科学技術関係の大学向けの補助金は、一部の特権的大学教授達の手に握られ、旧態依然の配分が行われています。やる気と能力のある若い有能な研究者達は何もいえない状況です。だから優秀な研究者達は次々と海外へ逃げていきます。日本の大学というのはそういう閉鎖的なところであります。

 一方、米国では重要研究分野については、国の評価機関が直接、評価してお金を出す仕組みになっており、研究成果の高い大学や良い研究者に優先的にお金がつく制度になっております。わが国もこうした仕組みに抜本的に改めて、競争原理を取り入れながら研究者のインセンティブを高めていくようにしなければなりません。

 また、研究の成果を民間移転できる産と学との間のパイプも依然十分なものとはいえません。大学関係者の中には、発明開示に消極的であったり、研究成果の商業利用に抵抗を感じておられる方も多いのが現状です。

大学も企業の側もこうしたことの改善にもっと真剣に取り組むべきでしょう。二年ほど前からTLO(技術移転機関)という、大学の研究成果の企業移転・産学連携を促進する機関・諸制度も浸透しつつあります。企業の側もこうした制度を利用し、大学と大いに連携しながら研究基礎技術を商用に活かすようにしなければなりません。そうした環境づくりのため、わたくしも国政という場で引き続きがんばっていく所存であります。

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